江戸時代の呉服商のイノベーションとは・・・
18日の新聞を見ていると、20日発表される百貨店業界の売上が、 6兆円を割り込む見通しであるという新聞記事が目に入りました。 百貨店業界の最盛期は1997年の9.7兆円です。 つまりピーク時に比べ38%以上も低下しているということになります。
この数値を見て、パチンコ業界と似ていると思う人も多いと思います。 売上で言えば、パチンコ業界は2005年の34.9兆円をピークとして、 2015年は23.2兆円と33%以上ダウンしています。
平家物語ではありませんが、すべては流転し、栄華盛衰は世の常です。 しかし、縮小する業界の中にいる企業が、一律業績がマイナスになっていることはありません。 良い企業と悪い企業に分かれるのが普通です。
今年の5日にカンブリア宮殿に登場したのが、 「J.フロントリテイリング」の山本社長でした。 「J.フロントリテイリング」と言ってもなじみがない人もいるでしょうが、 「大丸・松坂屋」と言えばほとんどの人が知っているのではないでしょうか。 業界が縮小の中でも売上を伸ばし、一位の「三越伊勢丹HD」に迫っているようです。
同じように衰退期に入ってる業界で、 伸びている企業の勝ち残りのポイントを聞くことは、 自社の経営を見直す参考になります。 「J.フロントリテイリング」が伸びている理由を山本社長は、 業界常識や成功体験にとらわれないことと言われてました。
例えば、百貨店と言えば、1階に化粧品店、2階に婦人服店という常識ですが、 これは今は違う。 人の配置も、昔は各売り場に一律的に人を配置している。これもダメ。 これに気づいて変えてきた成果が今出ているとのことでした。
そして、もともと百貨店という業態があったのではなく、 江戸時代の呉服屋が、明治の開国で必要に迫られて、 呉服だけではなく、洋服を扱うようになり、 それに関連した西洋の品々を扱うようになっていった。 それに伴い、販売方法も接客販売から陳列販売へと移行していった。
つまり、変化を恐れなかった呉服屋が、イノベーションを起こし、進化し、業態を変化させ、 今の百貨店となったので、根本の成功DNAは、変革や革新であると言われているように感じました。 業界常識を大切にし過ぎる。成功体験に固執するというのは、 これに反するようですね。
特に松坂屋は、変革や革新の傾向が強く、初めてのことをいろいろと行ったということでした。
例えば、
日本で初めて、販売員の制服の洋装化を行う。
日本で初めて、店内を土足入場できるようにする。
日本で初めて、エレベーターガールを導入する。
などです。
今では、当たり前かもしれません。時がたてば、そんなものです。
なぜなら、イノベーションとは、次の当たり前を作ることですから。
今、コミュニティホールなど、新しいことに取り組んでいる方は、 進化をしようとしていると言うことができるのではないでしょうか。
もちろん進化しなくても、滅びるとは限りません。 「シーラカンス」のように。
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