本当の地域密着店の作り方

店舗(パチンコホール)が地域のコミュニティ広場としての取り組みを始めた

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経営のヒントになりそうに思ったこと

 □□□ 2018年10月の目次 □□□

 世界は初の本革ノートパソコンを作った理由とは?

 HP(ヒューレット・パッカード)が10月26日に世界初の本革ノートパソコンを発表しました。 HPは世界一のパソコンメーカーで、2017年には5880万台(内国内145万台)を出荷しています。 ちなみに2位がレボノで5484万台、3位がデルの4182万台です。

 ご存知と思いますが、パソコンはスマホなどに押されて、販売台数が伸び悩んでいます。 しかも、買い替えサイクルの長期化などでパソコン需要は世界的に頭打ちの状態です。
 業界の再編も進んでおり、NECと富士通のパソコン事業はレボノの傘下に入っています。ソニーはバイオを手放し、 東芝もパソコン事業を今年6月にシャープに売っています。 昔から変わらず作り続けているのはパナソニックのレッツノートだけという状況です。 そのパナソニックの出荷台数は38万台と世界上位メーカーとの開きはかなりあります。 かなり大変な業界であることがお分かりいただけたと思います。

 話を戻します。この本革ノートパソコン(HP Spectre Folio13)ですが、価格は16万9800円~と少し高めの設定です。 画面の大きさは13.3インチで、バッテリーで約19時間動きます。 革は上質なものを使っており、とても柔らかく、パソコンの開け閉めはもちろん、 タブレットモードにするときにも違和感なく変形できるという優れものです。 本革使用だけあって、何となく高級感が漂います。

 今回、なぜ本革ノートパソコンを出したのか、その理由を日本HPの岡隆史社長はこう述べていました。 「パソコンは標準部品が多く、性能や機能での差別化が難しい。コモディティ化している。 だから、性能の良いか悪いかは購入の判断基準にならなくなってきている。 今回、購入の判断基準をこの製品が『好きか嫌いか』という点を大切にしたいと思っている。 そのため、デザインを全面的に打ち出し、お客様の感情を動かすことに重点を置いた」

 要するに、岡社長は、差別化ができないときの判断基準は、 理屈ではなく、好きか嫌いかでしょうと言っているのです。 確かに、どの製品を使っても同じなら、自分の好みの形や色など、好き嫌いで選びますよね。 つまり、相手が気に入る何かを提供することで、選らばれると言うことです。 ここで、大きなウエイトを占めるのがデザインということでしょう。

 実際、私たちは、機能が同じ、価格も同じなら、好き嫌いを第一優先にしますよね。 これは、製品だけに当てはまることではなく、店舗にも当てはまるとは思いませんか。

 どこのホールに行っても似たような機種構成、出玉も同じようなもの、 店舗にしても多少違いはあるが、同じようなものになってきているのではないでしょうか。 もちろん、台数に違いはありますが、魅力的な台は少なくなってくるにつれて、 機種構成が多くても、お客様にとってどうでも良い台が増えるだけなので、あまり関係ないのではないでしょうか。 このように機能に対する満足度を「理性的顧客満足度」と言います。

 これは、パソコン同様、ある程度のレベルになると差別化はできないということになります。 つまり、お客様からみると同じものに見えるということになります。 そうなると、日本HPの岡社長が言うように、お客様が選ぶ基準は『好きか嫌いか』ということになってきます。 ここがお客様に選ばれるキーポイントになると言うことです。

 それでは、ここで質問です。
 みなさんは、お客様が「このホールが好きなんだ」と言わせるための施策をどれだけ打たれましたか? あるいは考えてきましたか? 普通の接客接遇をして、「このホールが好きだ」と言ってもらえますか? これまで通りの新台入替をして、「このホールが好きだ」と言ってもらえますか?

 「好き」と言ってもらえることが、選択されるポイントであるなら、お客様に「好き」と言わせる運営をするのが、この業界で生き残るポイントに他なりません。 ということは、施策を考える視点、適正かどうか判断する視点は、この施策を実施するとお客様は、自分たちのホールを「好き」と言ってくれるだろうか、ということになります。 こういう満足度を「感情的顧客満足度」と言います。
 HPの発表を見ながら、感情的満足度に焦点を当てる時代ですよねと、思わず共感してしまいました。 ちなみにコミュニティホールは感情的満足度を高める手法です。

●参考研修:コミュニティホール基本研修

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 日立製作所のクラリオンの売却から考える!

 先週末、ニュース番組WBSを見ていると、上場企業の「クラリオン」が売却されるという報道はがありました。
 日立製作所は、カーナビシステムを手掛ける「クラリオン」をフランスのフォルシアに売却するというものです。 日立が保有するクラリオン株(63%)の50%以上を、フランスの自動車部品大手フォルシアに譲渡する模様で、売却額は900億円ぐらいになるようです。

 クラリオンと言えば、キャンペーンガールの「クラリオンガール」が芸能界への登竜門となったことで、知っている方も多いと思います。 ちなみに第1回クラリオンガールは、遊技台にもなった「アグネス・ラム」なので、パチンコ業界とも全く無縁というわけでもないかもしれませんね。 蛇足ですが、国会議員の蓮舫さんは第14回クラリオンガールです。

 クラリオンは2006年に日立傘下に入り、日産自動車やマツダなどへカーナビを供給していますが、 スマートフォンの普及により需要が伸び悩み、2018年9月期の純利益が前年同期比−85%減の3億円に落ち込むなど、業績が低迷していました。

 フォルシアはFCV(燃料電池車)やPHV用バッテリーなど、次世代自動車の技術開発を進めており、日本の自動車大手との提携を加速する狙いがあるとみられ、 今回のクラリオンの買収により、その販路を活かし、日本市場への浸透を図っていく模様です。

 売却の会見をしていた日立製作所の西山光秋CFO(最高財務責任者)は、注力する事業分野にリソースを集中させるために「クラリオン」を売却をすることにしたと言っています。
 日立製作所は、売上9兆3686億円(2017年)の大企業です。純利益も3629億円とかなりあります。 このような大企業でも勝ち残っていくためには、資源を集中して、自社の重要分野を強化していかなければならないということですね。

 どの業界でも競争が激しく、成熟してくると製品やサービスがコモディティ化していきます。 つまり、製品やサービスの特徴を出せず一般化してしまい、高い値段での販売はできず、安売り競争になっていきます。 そうならないために、現状に甘んじることなく経営資源を投入して、新たなイノベーションを起こしていかなければならないということを教えてくれています。 企業活動の宿命みたいなものですね。

 パチンコ遊技機業界も同じですね。遊技機もコモディティ化していき、メーカーに大きな違いは無くなってきています。
 パチンコホール業界も同じで、これまでと同じことを同じようにしていると、コモディティ化して特徴がなくなります。 機種構成やサービスも似たようなものになっていきます。 そのときになって何か特徴を出そうとしても、遅いということになります。
 だから何を注力していくか、絶えず意識を高めておくことが大切です。 これはパチンコ業界でも同じです。 選択と集中の大切さを、日立は身をもって示してくれていると思います。

 ◇

 また、先ほどの日立製作所の西山CFOは、「クラリオン」はフォルシアグループに入ることにより、新たな活躍が見込まれると言っていました。 同じ能力を持っていても、活躍する土壌がないと力を発揮できないということがあるということでしょう。 人材に置き換えると、活躍の土壌を与えないと能力を十分に発揮できないと言っていることと同じです。

 日立の政策方針の中で、「クラリオン」は売却されてしまいますが、 「クラリオン」の事業再定義による活用もあったのではないかと考えます。 クラリオンは現在、自動駐車システムにの開発に注力をしており、 日立が強化しようとしている自動運転関連サービスとの関わりはあるからです。

 とはいえ日立の「クラリオン」に対する判断は、事業を進めていくパートナーではなく、 資金調達の資金源という判断してしまいました。 しかし、それは絶対正しいかどうかは別の問題です。 同じもの(企業)でも、何と見るかで評価や活用の仕方が違ってくるからです。

 パチンコ店で言えば、グループ店の小さくて古い店舗は、てこ入れをしても大型店に対抗できないダメな店と判断する見方があります。 一方、小さくて古い店舗は、昔を良く知っているノスタルジーが大好きな顧客を取り込むのに適しているという見方もできます。
 古い小型店が、新しい大型店と同じ客層を狙うとなれば、勝負になりませんが、パチンコユーザーをセグメントをすることで、 特殊なニーズを満たすということを意識すると新たな運営スタイルが見えてきます。 あえて新台はいれない方が雰囲気がでるとか、運営方法も変わってきます。

 同じものでも着眼点が変わると運営方法は変わり、評価は変わります。 だから店舗も店舗単一の評価ではなく、運営方針(土壌)を合わせての評価が大切だと思います。 今回の「クラリオン」は、日立からたまたま売却という判断をされましたが、今後どうなるかはわかりません。 土壌が変わることで企業はどうなっていくのか、今後を見ていきたいと思っています。

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 日本橋三越本店のコンシェルジュ作戦から考える!

 日本橋三越本店が、約30年ぶりの大規模改装を終えて、昨日24日リニューアルオープンをしました。
 内装は、新国立競技場の設計者として選ばれた建築家の隈研吾が行い、 環境デザインのコンセプトは、人が集まる「樹」と人が流れる「道」ということで、木漏れ日の中で買い物をする空間をイメージしています。 三越本店は、重要文化財の指定を受ける見通しとなっているので、 外観や中央ホールなどはそのままに、リモデルのフロアによってデザインテーマを変えて切子など日本ならではの意匠を取り入れています。

 改装の目玉は、専門の社員が売り場を案内するコンシェルジュサービスです。 売り場の販売員と別に、約90人のコンシェルジュが顧客の相談に乗ったり、 売り場の垣根を越えてお客様が求める商品を探したりします。

 開業前のセレモニーで、三越伊勢丹ホールディングスの杉江俊彦社長は 「人の力・環境・IT(情報技術)が一体となって、総合的に満足してもらえる百貨店を築いていきたい」と抱負を語りました。
 また、WBSのインタビューの中で、杉江社長は、今の時代はインターネットが普及し、情報があふれているので、逆に何を選べばよいか分かりにくくなっている。 こんな状態なので、お客様は納得して買い物をしたいと思っている。 そこで今回、納得いくまで説明して買い物をしていく仕組みを作り上がたということです。 これを杉江社長は、原点回帰、本来の百貨店の姿と考えているようです。

 パチンコ業界もコンシェルジュ・スタッフ置いていた企業もありました。 コンシェルジュは何をするのでしょうか?

 インターネットで調べる(知恵蔵の抜粋)と
”ホテルの職域の一つで、宿泊客の様々な相談や要望に応える「よろず承り係」。 航空券や観劇のチケットを手配したり、道案内やレストランの紹介をしたりするのはもちろん、時には人探しや物探しなどあらゆる要望を承り、「究極のパーソナルサービス」と言われる。 顧客一人ひとりに応じたきめ細かいサービスが注目を集め、今ではホテルのみならず、観光案内所や駅、百貨店、病院など、多くの業界・企業に、コンシェルジュという制度が広がっている。”
とされています。

 日本橋三越本店のコンシェルジュは何をするのでしょうか。
 ニュース番組WBSで詳しく紹介されたのは、婦人服を担当しているコンシェルジュでした。 スタイルは予約をして相談にいくような感じでした。 はじめに診断ということで、アンケートを記入し、購入したい服の利用シーンを伝え、予算も伝えます。
 次にカラー診断ということで、自分に合う色をお客様と話をしながら、探していきます。 基本的には4つのパターンがあり、肌の色や髪の色などで決まったいきます。 私も昔、研修で受けたことがありますが、自分に合う色のイメージが頭の中に入りますので、まだ着たことが無い服にも挑戦しやすくなります。

 自分に合う色が理解出来たら、コンシェルジュが店舗を案内して、ブランドに囚われず似合う服を選んでくれます。 百貨店の店舗はブランドごとになっていますが、 コンシェルジュはそれを気にせず、百貨店全体を一つの店として扱い、複数ブランドを同時に試着できるようにしてくれます。 試着の結果気に入ったものを購入し、選ぶために試着した服は、コンシェルジュが各ブランド店へ返しに行ってくれます。 お客様にとっては、気を使う必要がありません。

 日本橋三越本店では、婦人服のブランドが100以上あったと思いますが、 その選択する手間を軽減してくれるので、助かると思います。 コンシェルジュが「つきそう接客」をしてくれる。 これまで「つきそう接客」は上客にしか行ってこなかったのですが、 それを一般客にも広げて、百貨店のファンを増やそうとしています。

 さて、この日本橋三越本店のコンシェルジュ作戦が、上手く行くかどうかはこの時点では分かりません。
 売上の構成は、
   売上 = 客数 × 客単価
というように因数分解できます。
 では、コンシェルジュ作戦はどちらを狙いにしたものなのか。 実際、予約を入れるという人は、三越本店で買うと決めている人なので、すでに三越本店のファンですよね。 そのファンの購入を手助けして、良いものを買ってもらう。 自然と客単価は上がると思います。
 WBSのキャスターも、服選びを体験して、「ちょっと予算をオーバーしたけど、それでもいいやと思った」といってました。 したがって、このコンシェルジュ作戦は客単価アップを狙ったものだと思います。 もしろん、コンシェルジュに会いたいというレベルまで人気が上がれば、客数の増加が見込めますが、少し時間がかかるでしょう。

 毎年縮小していく百貨店業界が、何を持って業界縮小に歯止めをかけていくのか。
 速さや効率ではネット通販には勝てません。 リアル店舗の魅力ということになると、店舗の内外装の刺激もあるでしょうが、 同業者までの差別化を考えると、働く人が魅力的になるというが一番なのではないでしょうか。

 働く人の能力をアップさせて、ファンができるくらい魅力的なスタッフを作る。 この発想は、百貨店業界だけでなく、リアル店舗すべてに当てはまるように思います。 もちろんパチン店にもです。 コンシェルジュ機能ということでは、コミュニティホールの十分条件の8項目目にある遊技機の情報提供を、 スタッフを通して行えば、三越本店のようなコンシェルジュになるので、それもありでしょう。

 コンシェルジュまで行かなくても、スタッフの接客接遇で魅力的に見せるいろいろ手法はあります。 一度、自店の接客接遇を見直して、お客様から見て、スタッフがどう見えるのか、観察してみてはいかがでしょうか。 その中にスタッフの魅力アップのヒントがあると思います。

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 ヨーロッパチーズの関税引き下げの捉え方!

 みなさんはチーズはお好きですか?
 10月20日から21日にかけて、『ジャパン チーズ アワード 2018』というチーズの品評会が、大崎ブライトコアホール(東京都品川区)で開催されました。 3回目を迎えた今回は、国内ナチュラルチーズ生産者83団体から200種類以上の選りすぐりのチーズが出品され、会場を盛り上げていました。 ニューズ番組WBSでは、その様子を時間を取って報道しています。

 熱心に報道していた理由は、もうすぐEUとのEPA(経済連携協定)が発効されるからです。 実はその中にチーズの関税を順次引き下げていくという項目がありました。
 現在ヨーロッパのチーズに対して、日本は29.8%~40%の関税をかけています。 そのために販売されるヨーロッパのチーズは結構高い価格になっていました。 しかし、EPAの発効によって価格が下がり、国内のチーズ生産者への影響が出る可能性が出てきたのです。

 問題構造学の中で、原因をいくつかに分類しています。 その中に「外乱」というものがあります。 自分ではコントロールできない、突然やってくる災害のようなものです。 今回のEPA発効による影響は、この外乱に当たります。 自分ではどうしようもない事態です。
 どこの業界でもありますが、パチンコ業界でいえば、遊技台の規制のようなものです。 まさに、自分ではコントロールできない災害のようなものです。

 番組の中では、チーズ生産者にEPAに対してどう思うのか訊いていました。 こういう外乱が発生した場合、人はどのように考えて対応しようとするのか、 その時のチーズ生産者の方の回答が三者三葉で面白いと思いました。

 まず、最初の人は、
「いろいろと工夫をして差別化(水牛の乳を使用)を図っているが、関税が下がると売れなくなるかもしれないので、気になる」
と話していました。
 次の人は、 「関税が下がるということはどうでもいいことで、自分のチーズを如何に美味しく作るかが問題、 そして、外国産のシェアを如何に上手く奪うことができるか大切で、そこに注力してい」とのことでした。
 三人目の人は、
「安いEUのチーズが国内に入ることで、チーズを消費する文化が広まる可能性が高い。だからチャンスと考えている」 という内容でした。

 関税の引き下げという事実は変わらないのですが、ピンチに考える人もいれば、 チャンスと考えている人もいるという教科書的な内容ですよね。
 この三人の中で一番業績を上げて行きそうな人は何番目のチーズ生産者でしょうか? 少なくとも一番最初ではないという人が多いのではないでしょうか。

 人間、最初にだめだと思うと思考が停止してしまいます。 思考が停止をすると、体も動かなくなってしまいます。 要するに、最初に拒否反応が出ると、その後が何かとつらくなっていきます。

 そのことから考えると、おそらく一番最初の方は、頑張っているけど成果が出ない、売上が落ちるのではないかと思います。
 ヨーロッパから安いチーズは入ってくると言っても、運送費は上乗せしないといけないので、日本のチーズより高い価格のものが多いと思います。 それに対して、安いから負けるという考え方は、質の面で劣っていると宣言しているようなものではないでしょうか。 いくら差別化を図っていると言っても、空回りしそうな気がします。

 逆に3番目の回答者のように、これをチャンスと考えている人は、チャンスがあると思っているので、積極的にチャンスを探すと思います。 そうすると、チャンスに出会う可能性が高いのではないでしょうか。
 これはパチンコ業界のいろいろな規制や問題に、みなさんが直面したときの参考になる考え方ではないかと思います。 そんなことを考えながら、インタビューを見ていました。

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 アメリカのシアーズHDの破産から経営を考える?

 先週10月15日(2018年)、ニュース番組WBSを見ていると、アメリカのシアーズ・ホールディングス(HD)が米連邦破産法11条の適用を申請したという報道がありました。 シアーズHDは、「シアーズ」と「Kマート」を傘下に置く同社は創業1世紀の老舗です。 負債総額は、113億ドル(日本円で約1兆2000億円)です。
 これを見て、アメリカを代表する老舗大企業が、とうとう倒産をしてしまったと思いました。 トイザらス以上の衝撃でした。

 みなさんは「シアーズ」というアメリカの大手小売業をご存知でしたか?
 わたしは昔アメリカに行った時、シアーズで買い物をしたことが1回あるかないか程度です。 しかし、この企業の名前は実際に利用する前に、本で知って言いました。

 実は、この企業はピーター・F・ドラッカーの「抄訳マネジメント」という本の中で紹介されているからです。 この「抄訳マネジメント」という本は、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海 著)で紹介され有名になった 「マネジメント」という本の前バージョンの本で、1975年にダイヤモンド社から出版されています。 (ちなみに今の「マネジメント」の本は、「抄訳マネジメント」の抄訳のような感じになっており、読みやすくなっています)
 この「抄訳マネジメント」の中で、「企業とは何か」を考える材料として取り上げられていました。

 シアーズは、リチャード・シアーズが創業したもので、当初の業態は差し押さえ商品を買いたたき、それを通販広告によって売っていました。 商売は1回づつ完結しており、事業の基礎を築くことさえできなかったとドラッカーは言っています。

 彼は、事業をジュリアス・ローゼンワルドに売ります。 ローゼンワイルドという人は、1895年にシアーズを買い取り、通信販売事業を始めます。 その目的は、アメリカ農民をターゲットとし、そのニーズと欲求を満足させる商品を提供していくことしていきます。 そして、定期刊行の通信販売カタログを考えだし、信用を得るための返品制度もつくります。 こうして、シアーズは、第一次大戦の終わりには、全国的な規模の一大企業に成長します。

 そして1920年代に、ロバート・E・ウッド将軍と言う人が経営権を握ります。 このころ車社会が始まり、これまでの農家の生活環境が大きく変わります。 また、これと並行して都市に膨大な市場が形成されていきます。
 これを見て、ウッドはシアーズの重点を、自動車を持つ農民と、都市の住民のための小売店に移すという決定をします。

 この決定を実行するために、商品設計や大量生産ができるメーカーの育成、小売店の立地、建築、店内設備をすべて開発していきます。 今のスーパーマーケットの業態を開発していきます。
 そして何より不足していたのが店長だったとドラッカーは言っています。 このため本社から離れていても自分で店舗経営ができる人を育てていった。 特に1930年代の経営管理者開発こそ、現在の経営管理者開発の出発点になったと言っています。 この舵取りでシアーズはさらに発展していくのです。

 ドラッカーは、この時のシアーズはもはや自らの事業を、単なる品物の売買とは定義していない。 自らの事業を、アメリカの中流階級のニーズと、欲求と、満足を扱うものとして定義していると書いています。 そしてその続きに、シアーズが主導的な地位と成長の能力を維持するためには、世間の変化に正面から取り組み、 自社の事業とは何か、そのための市場はどこにあるか、そのためにいかなる革新が必要かということについて、 再び定義を行わなければならないとしています。

 そしてシアーズ物語の最後に教訓を2つ挙げています。
 1つは、企業は人によってつくられ、経営されることを教えてくれていると言います。 だから、経営管理者が市場の力に企業を適応させさえすればよいというのは、愚かな話としています。 経営管理者は、市場の力を見つけるだけでなく、自らそれを創造しなければならないと言っています。
 パチンコ業界で言えば、ユーザーの動向や規制などで流されているだけではダメで、 そこからユーザーが求めている真のニーズや欲求を洞察し、新たなサービスや業態を開発しないとダメだということですね。

 2つめの教訓としては、企業を利潤によって定義をしたり、説明したりすることはできないと言っています。 利潤追求をすることによって、企業は成長するわけでは無いと言っています。 もちろん利潤は大切ですが、それだけに目を奪われると企業の明日への変革が見えてこないというのです。
 これもパチンコ業界で言えば、利益を最大にするために玉粗を上げることだけに専念していると、稼働が飛ぶよと言っているのです。

 少し長くなりましたが、こういうことを伝える格好の企業事例としてシアーズを知っていました。 この「抄訳マネジメント」の中で、シアーズの社会変化への対応について遅いと警鐘を鳴らしていましたが、奇しくもそれが現実に成ったということでしょう。

 このシアーズHDが破産した原因は、ウォルマートやアマゾンとの競争激化で、業績が低迷し閉店があいつだためと報道していました。 シアーズの米国内の従業員は、2月時点で約8万9000人。 5年前は24万6000人だったのですが、リストラや相次ぐ閉店で、大幅に人員も減っていました。

 でも、破産した原因として競争に負けたとしていますが、それは結果であって真の原因ではあません。
 ドラッカーに言わせれば、経営管理者が
  ①誰が顧客か
  ②顧客にとって価値があるのは何か
  ③顧客はどのように買うのか
  ④顧客に必要なものは何か
というようなことを自問しなかったために負けた、
とでも言うのではないでしょうか。

 例えばネットに対して、リアル店舗の優位性などと良くいいますが、 多くの小売企業は、商品を実際に目で見ることが、ネットの写真でみるより価値があると勝手に思い込んでいるように感じます。 本当にそうでしょうか。 もしそうでなければ、リアルの価値とは何でしょうか真剣に考えなければ、ネットに勝つことはできないと思います。

 そんなことを考えながら、ドラッカーの「マネジメント」を再読する時期かもしれないと思いました。 みんさんも秋の夜長、ドラッカーの「マネジメント」を読まれてはいかがでしょうか。

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 菅官房長官のスマホの通信料問題の影響は?

 みなさんは、今の大手3社のスマホ料金は高いと思いますか?
 最近、菅官房長官は、日本のスマホの通信料が高すぎるという発言をされています。 ご存知でしょうか? ではなぜ、菅さんはそんなことを言うのでしょうか?

 総務省の国別調査では、17年のスマホ月額利用料(5GB:シェア1位事業者)以下のようになっていました。
   東京    :7562円
   ニューヨーク:5990円
   韓国    :4445円
   ロンドン  :2444円
   パリ    :1783円
 総務省の石田大臣は、利用料金引き下げの有識者会議を先週開きました。

 菅官房長官は、ニューズ番組WBSのインタビューで、 「電波は国民の財産であり、それを利用して大手3社が儲けすぎるのは良くない」 と言われていました。
 要するに通信領域は、国が国民にために貸し出したものであり、 その領域の利用でお金をとる通信料は、水道、電気、ガスと同じような『公』のものだという主張です。

 儲けすぎている根拠は、東証1部企業の平均営業利益が約7%に対して、 大手通信3社の営業利益は20%もあり、約三倍も収益が高いところにあります。 発想としては、国民生活に不可欠な商品を取り扱っているので、 水道代や電気代と同じように、なるべく価格を抑える必要があるということでしょう。

 世間では菅官房長官の発言に対して、安倍内閣の成果が国民に反映されてないという批判をかわすために言っているとか、 来年の参議院選挙のための布石の為などとか、いろいろ言われています。 そういうこともあるかもしれませんが、世の中のインフラとして「スマホ」が定着してきている中で、 その利用料が高いというのは問題だと思います。

 以前見たNHKの特集番組の中で、介護のために職を辞め、父親の少ない年金で生活している人間が、 どのような支出があるのか紙に書き出した時に、通信料を月に15000円ぐらい支払っていると書いていました。
 仕事やアルバイトを探すため、また仕事先からの連絡を受けるためかもしれません。 それでも、生活に困窮して食費を削っている人間が、こんなに通信料を払うのはおかしいと思ったものです。 (だからこの番組は、半分やらせと思っていました)

 しかし、失業して職探しをしている人の立場からすると、今時スマホを持っていないとか、メールでの連絡が取れないとなると、就職もままならない。 だから、仕方なく高いスマホ利用料を払っているということかもしれません。 しかしこの構図は、やはり良くないのではないでしょうか。
 急速に「スマホ」がインフラ化している以上、菅官房長官の考え方はもっともだと思います。 もちろん、政治的な意図があったとしても、みんなの生活が良くなるのであれば、結構なことではないでしょうか。

 ◇

 ところでみなさんは、スマホの通信料の値下げは、パチンコ業界にプラスとなるとお考えですか?

 通信料が下がると、その分のお金が浮く、それがパチンコ遊技に回ってくる可能性はある。 したがって、料金の値下げはP業界にプラスになる。 いかがでしょうか?

 通信料が下がっても3000円/月ぐらいなので、影響はほとんどないだろう。 という考え方もあります。

 でも、このような考えもできます。 通信料が下がることで、スマホでゲームや動画を楽しむ人が増える。 そうなるとパチンコに行く時間が少なくなる。 その結果、パチンコ店の稼働が下がる。 したがって、料金の値下げはP業界にマイナスになる。

 将来どうなるのかは、正確にわかりません。 しかし、将来のリスクを考えて事前に対策を打つ必要はあります。 影響の大きな身近な問題については、頭の訓練と言うことで、 それを題材にして社内でディスカッションをすることは、 必要なのではないでしょうか。

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 プラスチック浮遊調査から実態把握の大切さを確認する!

 世界中でプラスチックの汚染が問題となっています。 アメリカのスターバックスは、いち早くプラスチックのストローの使用を2020年までに全店で中止すると宣言しました。 マクドナルドも同じように廃止を宣言しています。 ガストやバーミヤンを運営しているすかいらーくホールディングス(HD)も、 国内外3200店すべてでプラスチック製ストローの利用をやめると発表しています。

 なぜ、ストローかといえば「ウミガメストロー事件」の影響ですよね。
 ウミガメの鼻に刺さったプラスチック製のストローを取り除く処置をしている動画を見た人は、 一応にこれは酷いと感じたと思います。 そして、環境保護の観点と健康の観点から、プラスチック製のストローを使用しているのは大問題となったように思います。 人間は感情を動かされると、行動速度が速まります。

 もちろんストローだけではなく、日本の場合、プラスチック製のレジ袋も問題となり、 レジ袋を使わないようにオペレーションを変えてきています。
 私の家の近くの奈良駅の中になるスーパーは、以前はレジ袋を使わないと2円値引きをしてくれたのですが、 現在では、レジ袋を使うと5円/袋をいただきますというようになっています。 消費者にメリットを与えることで抑制するよりも、デメリットを与えることで抑制しようという方向になってきています。 みなさんの地域でも何らかの取り組みが行われているのではないでしょうか。

 それではここで質問です。
 これでプラスチックによる環境問題は改善していくでしょうか?

 この状態をパチンコ業界に例えると、「稼働が下がった!とりあえず新台を強化しよう、出玉をしよう、屋台を呼ぼう、改装をしよう」という状況と同じです。 これで、稼働が上がるのでしょうか? もちろん、効果が無いとは言い切れません。 しかし、効果があるとも言い切れません。 それは、原因を分析して、それに対処することを意識していないからです。
 だから打った施策がたまたま原因を除去した場合は、稼働が上がるし、そうでない場合は稼働が上がらない。 当たり外れの世界になっている場合が多いのではないでしょうか。

 ホールに行って店長さんにこうことを言うとすぐに反論が返ってきます。
「そんなことはない。お客様が新台をもっと入れて欲しいと言った」
「お客様がもっと玉を出してくれと言った」
「お客様が屋台があった方が賑やかでいいのにと言っていた」
そこで、誰が聞いたのですかと尋ねると、
「お客様から直接言われたとスタッフが言った」
などと言葉が返ってきます。 そこで、何人の人が行っていたかを尋ねるとだいたい口ごもってしまう人が多いですね。

 何が言いたいのかと言えば、 人は印象的なことがあると、それを根拠に動いてしまう傾向があるということです。 これがプラスチック問題で一番最初に取り上げたカメの鼻のストローの動画に当たります。 そして、それに対して即応して行動する。 でもそれで、プラスチックによる環境問題が改善されていくかは別問題です。
 以前よくパチンコ業界の社長からお聞きした「うちはDOばっかりで、PDCAが回せない」という言葉がフラッシュバックします。

 話をプラスチックによる環境問題に戻します。
 実は、ピリカというゴミ問題に取り組んでいる会社が、国内外の37か所の河川や港湾におけるマイクロプラスチック等の浮遊状況調査を行い、 先週の12日にその結果を発表しました。

 解析の結果、全体の23%を占め一番多かったのが緑色の棒状の破片で、 詳しく調べると、人工芝の先端部分だとわかったということです。 先端部分がちぎれて、雨などで流されて河川や港湾に運ばれたようです。
 次に多かったのが、農業用の肥料を入れる極小カプセルでした。
 そして、今回の調査では、「ストローの破片は検出されなかった」と言っています。
 みなさんはこの結果報告聞かれてどう思われましたか?
 私は意外な結果に驚きました。

 ピリカの小嶌不二夫社長は、今回の調査の目的は、汚染しているプラスチックの製品や用途の特定と、流出経路の特定をすることと言っています。 そして、「実態を見たうえで、問題解決をしていくことが大事」と言われていました。 私もまったく同意見です。

 それではここで再び質問です。
 プラスチックストローの廃止で、プラスチックによる環境問題は改善していくでしょうか?

 以上のことから老婆心かもしれませんが、 行動を起こす前に、なるべく実態を把握し、正確に原因を調べる努力を怠るべきではないと感じました。 DOが先行しがちな方には、手前味噌ですが、原因を明確にしながら計画を作るエフ式PDCAサイクルをおススメします。

 ⦿時間があれば・・・
   ◆ウミガメの鼻ストロー動画
   ◆株式会社ピリカ
   ◆PDCA参考資料

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 撤退が決まった定番であった菓子から推察する!

 最近、多くの人から愛されていたお菓子が、大変なことになっていのをご存知ですか?
 もちろん、すべての定番菓子ではなく、一部のお菓子ですが、販売不振に追い込まれ、 製造中止や大幅な数量ダウンを余儀なくされているお菓子が出てきています。 有名どころでは「キスミント」「森永チョコフレーク」「カール」等です。

 読売新聞の10月5日(2018年)に朝刊にその特集記事が掲載されていました。 興味を引いたのがその撤退理由です。
 商品そのものの味が悪くなったり、質が落ちたりして買わなくなった。 あるいは商品が飽きられたということではないということなのです。 では何が原因かと言えば、社会環境の変化が原因で、購入されなくなってきたということなのです。

「キスミント」は江崎グリコの商品で、1987年に作られ、昔はCMを大々的にやっていました。 私の頭の中にも「キスミント、キスミント」という連呼する声がすぐに浮かんできます。
「キスミント」を購入動機は、”気分転換”や”暇つぶし”が多かったのですが、 今やその動機は、「スマホ」が出現したことで薄れてしまったというのです。 そして、社会全体が清潔感を求めているので、ガムを吐き出す行為が、周囲の人から嫌がられるようになってきた。 さらにテロ対策などでゴミ箱が市中から減少していったことで、吐き出したガムを捨てる場所が無くなってきたことも、 販売不振の要因にあげています。

 日本チューインガム協会の調べでは、国内のガム市場は2004年がピークで1881億円、 2017年は1005億円にまで縮小してきています。 それに代わって市場を拡大しているのが、タブレット(錠剤)菓子と言われるもので、 その代表格が「グミ」と言われています。

 森永製菓の「森永チョコフレーク」は、来年夏までに販売中止になります。 この商品の撤退の原因は、チョコが手につき「スマホ」が使いづらいということと、 健康志向の高まりで高カロリーが敬遠されたりう2点です。直近5年間の推移を見ると売上が半減したとのことです。
 チョコフレークを食べるスタイルが、何かをしながら食べるスタイルだったのでしょう。 その何かが「スマホ」であったことが致命傷になったようです。 人々の生活に入り込んでいる「スマホ」を敵に回す商品は危ないということでしょうね。

「カール」は明治製菓の商品ですが、2016年に東日本での販売が中止されました。 カロリーが高すぎると敬遠されて販売不振に陥ったということです。 健康志向は東日本の方の方が強いのかもしれません。

 こうして考えてみると、商品やサービスも社会の中に適応して存在しているということを、改めて思い出させてくれます。

 これはパチンコ業界も例外ではなく、その影響をかなり受けているように思います。
 例えば、奥さんの力が強くなって久しいと言われます。 世の中全体の流れが給与振り込みになったことで、 主人の稼ぎが自動的に奥さんが管理するという状態になることが多くなりました。 そのためパチンコに使うお金が自動的に制限されてしまい、パチンコに遊びに行けない人もいるのではないでしょうか。
 また、スマホのGPS機能で、奥さんに居場所を管理されている方もいるかもしれません。 そうなるとこれまで会社の帰りに気軽にパチンコ店に行っていた人が、 奥さんに監視されているのでいけなくなることも考えられます。
 さらに、「キスミント」はありませんが、暇つぶしがパチンコではなくスマホになっています。 スマホでゲームをすれば、すぐに時間が経ってしまいます。 そうなるとパチンコに行く時間がどんどん無くなります。
 そして、スマホの通信料を払うためにお小遣いが制限されて、パチンコに行く回数が減ることも十分考えられます。
 いろいろな規制などでのパチンコ自体の魅力の低下もありますが、 社会環境の変化による影響も大きいと思います。

 商品やサービスも自然界の生き物と同じように、環境に適応してけないと淘汰されてしまいます。 ホール運営で何を強化して、どのような方向性に向かうのか、 社会環境の変化を意識して運営していかないとマズイことになるということです。 逆に言えば、社会環境から好ましいとされると追い風となり伸びる可能性があるということです。

 そう考えると規制などで仕方なく変えるというよりは、 社会の動きに合わせて、いち早く適応するために、自らを積極的に変えていくことが大切なのではないでしょうか。
 例えば射幸性というものは、好ましくないと思われているので、世間にはあまり出さない。 しかし、認知症問題で脳の活性化は良いことだだと見なされているので、パチンコが脳の活性化を促すことをPRする。 あるいは、地域の活性化と言うことで、地域コミュニティ的な企画を打ち出していくというような感じです。

 撤退する定番菓子とそれを取り巻く環境との関係を考えると、 パチンコ業界は、社会環境への対応の必要性を、今後も益々求められるのではないでしょうか。

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 農林水産省の食品等の輸出額目標1兆円から学ぶ!

 ニュース番組WBSで、10月10日(2018年)から12日まで、千葉の幕張メッセで開催している「第2回”日本の食品”輸出EXPO」を取り上げていました。 展示会には、中国、ブラジル、アルゼンチンなど80の国と地域から約4000人のバイヤーなどが集まり、 日本からは約600社の企業が出展して行われました。

 日本の輸出食品に特化した日本最大級の展示会です。
 主催:リードエグジビションジャパン株式会社
 共催:ジェトロ
 協力:農林水産省

 WBSの報道で参考にしないといけないと思ったのは、 農林水産省が、農林水産物や食品の輸出額を、2019年には1兆円にしたいと目標を掲げていることでした。 2017年の実績は8071億円ですので、1929億円ほど増やす目標を掲げていることになります。 ”日本の食品”輸出EXPO”に対して農林水産省が協力となっているのは、この目標を達成するための行動と言えます。

 この目標を設定するという行為が実は非常に重要なのです。 もし、目標が無ければ、ただ成り行きに任せるだけです。 しかし、目標ができるとそうではなくなります。 現状を変えないといけないという意識が芽生えます。

 この当たり前のことに気づいてない人をよく見かけます。 そして、自らそれを設定できない人もいます。
 具体的に言えば、店長になって何をすれば良いか分からないという人です。 運営はできますが、店舗をどのようにしたいのか明確なモノを持っていない人です。
 ちなみに「店舗を良くしたい」というだけではダメです。 その後に具体的には「〇〇を強化したい」とか「□□を改善したい」とかいう文言が無ければアウトです。 ただ「店舗を良くしたい」というだけでは抽象的過ぎて、昨日入ったアルバイトでも言えることです。

 これが会社になると最悪となります。 業界が縮小していく中で、会社をどうして行きたいのかを具体的に目標を設定できない場合です。 将来の目標設定ができないとただ流されていくだけです。

 目標設定能力は、管理者以上には不可欠な要素です。 人を導く立場の人は、必ず目標がいります。 社長は社長レベルの目標設定、部長は部長レベルの、店長は店長レベルの、主任は主任レベルの目標設定力が必要とされます。
 今回、農林水産省の『2019年には輸出額1兆円』の目標設定を知って、 中央官庁が日本産業を導いているということを改めて感じたと同時に、 ご存知の方も多数いらっしゃると思いましたが、その大切さを皆さんに伝えたいと思いました。

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 日立製作所の新型洗濯機からサービスのヒントをもらう!

 みなさんはどのような洗濯機をお持ちですか?
 洗濯機も安いものから高級なものまで様々です。
 当然、市場は成熟しており、メーカーとしては買い替え需要を如何に取り込むかで、激しい競争をしています。
 そんな中、先週、日立製作所が新型の洗濯機を発表しました。 「ビッグドラム BD-NX120C」で、価格は36万円前後とかなり高額です。

 特徴はAIを搭載しており、センサーで洗濯物の状況を判断し、 洗剤や使う水量を自動調整するようになっている点です。 これまで人間がしていた判断をAIが代わって行い、洗剤の無駄や水の無駄を省きます。

 スマホと接続することができ、洗い方に迷った場合、そのコンシェルジュ機能を使い、 洗い方を選べるようになっています。

 そして、洗濯コースは、基本コースが標準装備していますが、 自分の家の洗濯物に合わせて、それ以外のコースもダウンロードすることができます。 つまり、ソフト面では自分用にカスタマイズすることができるようになっています。

 AI技術がいろいろなところで使われてきており、 日本の大手家電メーカーはそれを取り入れ、高級な洗濯機に力を入れています。

 日立製作所の発想で面白いと思ったのが、 洗濯コースを基本コースを標準として、 その他のコースは、ユーザーが自分で選んで増やせるようにしていることです。

 良くある発想は、いろんなコースを事前に組み込み、ユーザーに選択してもらうというやり方です。 洗濯機だから選択するのは当たり前としていると、ユーザーは選択する手間を煩わしく思い、使い勝手が悪いと思います。 そうなると顧客満足度が低下してしまいます。 だから基本コースを絞り込むという発想は素晴らしいと思います。

 それと、必要なコースをダウンロードできることです。 ユーザーが自分の家族の状況に合わせて、コースをダウンロードすることで、 洗濯機は、その家用にカスタマイズされたことになります。
 人は自分が時間をかけ獲得したものは価値有りという感覚を持ちます。 せっかくだから、次の洗濯機にも活かしたいと考えるのではないでしょうか。 もし、買い替える時に、このデータを次の洗濯機に活かせることができれば、 囲い込みになると推察できます。
 つまり、他社の洗濯機を買って、一から自分用の洗濯機にする手間が省けますので、 今度も日立の洗濯機にしたいと思うのではないでしょうか。

 この発想をホールに置き換えると、 サービスの在り方との類似点が見えてきます。

 いろんなサービスを考えて画一的にお客様に勧めるのは、いろんな洗濯コースを仕込んでおくのと同じです。 毎回、これはいかがですかとサービスを勧められても、お客様にとっては鬱陶うっとうしいものです。 この日立のように8割以上の人がOKするであろうサービスを基本とし全員に勧める。
 しかし、サービスを利用しない人が多いものに関しては、スタッフが必要性を判断してお勧めするというのが好ましいことが分かります。 そして、そのサービス利用の有無をスタッフが覚えており、意識的にサービスのアプローチすれば、日立が必要コースをダウンロードするのと同じになります。 お客様にとっては、このホールはマイ・サービスをしてくれるホールという認識を持つことになります。

 良くある事例で言えば、ひざ掛けなどがこれにあたります。 利用する人は少数です。 それを毎回全員に聞いていたら、鬱陶うっとうしいとなりますね。 だから、特定の人に絞り込んで案内するというような感じです。

 顧客満足度上げてリピーターになってもらうために、いろいろなサービスを開発されていると思います。 そこで、この新型の日立の洗濯機のように、基本サービスと選択サービスの2本立て考えるというのはいかがでしょうか。
 改めて言いますと、基本サービスは、全員に案内する。 選択サービスは、必要性のある人を発見し、または利用者を記憶し、ご案内をする。 というのが良いのではないでしょうか。

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 危機管理の専門家「佐々淳行」さんから学ぶ!

 今日朝刊を見ていると「佐々淳行さん死去」という文字が目に飛び込んできました。
 佐々さんは、「あさま山荘事件」の現場指揮官を務めた人で、元内閣安全保障室長を務めた人です。 危機管理の第一人者で、一度講演を聞いたことがありますが、 話の内容(9.11事件)は面白く、やはりこの人は一流の人なのだと感じたことを記憶しています。

 佐々さんの本を持っていた記憶があったので、 これも何かの縁と思い部屋を探しましたが、なかなか出て来ず諦めかけた時、 一冊発見しました。
 本のタイトルは「平時の指揮官 有事の指揮官」というもので、文春文庫から出ているものです。

 本のつかみである序章には、村山富市元総理について論じていました。 当時、村山氏は、国会演説の中で内閣の施政方針として「人にやさしい政治」を掲げていました、
 ご存知の方も多いと思いますが、村山さんが総理大臣の時に阪神淡路大震災が起こりました。 国会答弁で、村山氏の阪神淡路大震災の対応について、野党から問題ありとの追求を受けましたが、 「現行の法制の下では、最善の措置を取ったと確信をもってお答えする」と述べました。

 これに対して佐々淳行さんは、とんでもないと言っています。
 「村山総理に作為の罪はない。しかし、その不作為の罪は重い」と。
 その背景には、大震災発生後の翌日(1月18日)、翌々日(1月19日)、既定の日程をこなし、面会人と不急の要件で歓談し、 財界人と会食をしているからです。
 なぜ、震災前の予定をキャンセルして、震災対応に当たらなかったのか。 トップがなすべきことをしなかったことで、救える命が救えなかったと指摘されています。

 それでは発生直後に何ができたのか?佐々氏は次のように書いてます。
 「延焼防止のための破壊消防、優先緊急車両を通すためのマイカー通行規制、違法駐車の実力排除。 断水で消火用の水が無ければ、化学消火剤の使用。自衛隊の大型ヘリコプターによる空中からの消化など、 第二次災害の可能性を覚悟し、憲法の定める『私権は公共の福祉のために、一定の補償の下に制限できる』との精神に則って、 全責任をもって、被害局限のための強行策を断行することだった」
 要するに、ほったらかしにしていたということが分かります。
 総理の不作為が、各省庁と知事や市長などの行動を遅らせ、事態をさらに悪化させたということです。

 村山総理が、財界人と会い歓談している2日の間、
 「生き埋めになっていた人たち、その家族たちは必ず国が、県が、自衛隊、警察、消防を投入して助けに来てくれると信じて、じっと耐え、待ち続けていたのである」
と腹立たしげに書かれています。

<阪神淡路大震災の被害(平成10年12月25日現在 消防庁調べ)>
  死者        6,430人
  行方不明者       3人
  負傷者      43,782人
  倒壊・損壊家屋 24万9155棟

 佐々淳行氏は、平時と有事はトップの在り方が違うと断言しています。 「平時体制とシステムを一瞬にして切り替え、『決断』『責任』『指揮命令』『従わぬ者への強制』という、 苦しい非常な任務を果たすのが『指揮官』の使命的な使命なのである」 としています。

 会社にとって、業界が伸びて、定型業務をこなしていけば、順調に伸びたり、利益が出るの平時です。 定型業務をこなしていても、利益が減少し、存続の危機に立たされる状態が、有事ではないでしょうか。
 パチンコ業界はまだ縮小していくと予想されます。 同じことをしていては、存続の危機に立たされます。 この時に何もしない、つまりトップの『不作為』はダメだということです。

 トップは会社であれば社長、店舗では店長です。 苦しい状況だからこそ、改革のために何かを徹底して取り組むことが大切なのです。 その時は、トップが率先してやること、佐々淳行さんの本では、 「アフター・ユー」ではなく「フォロー・ミー」と表現されていました。 佐々淳行さんの本は、経験に基づくものであり、ためになります。 この機会に読まれてはいかがでしょうか。

 佐々淳行さん、10月10日(2018年)老衰のためにお亡くなりなったということです。 ご冥福をお祈り申し上げます。

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 『ストレス臭』みんなで発生させれば最悪です!

 みなさんは『ストレス臭』って聞いたことがありますか?
「無い!」と言う方が多いと思います。
 それはそうだと思います。 なぜなら、これまで『ストレス臭』という正式な臭いについての科学的な発表はありませんでした。
 ところが10月2日(2018年)、大手化粧品メーカーの資生堂が、東京都内で『ストレス臭』に関する技術発表セミナーを開いたのです。

 資生堂では、皮膚表面から放出される気体「皮膚ガス」に着目し、 緊張による心理的ストレスが加わることで、特徴的なニオイが皮膚ガスとして放出される現象を発見したのです。

 資生堂は香水などの研究のため、臭気判定士による体臭の研究を行っています。 その中で、面接や試験、プレゼンテーション、スピーチ、初対面の対話など、心理的に心拍数が上がるような緊張・ストレス状態にあると、 硫黄化合物のような特有のニオイが発生することに気付いて、成分分析を行っていたということです。

 この『ストレス臭』ですが、これを嗅ぐと自分自身だけでなく、周囲の人にも心の混乱や疲労などの心理的な影響を及ぼすと発表しています。
 イメージとしては、腐ったりんごのように、一人が強い『ストレス臭』を発生させると、それが伝播して周りの人に影響を与える。 そして、その人も『ストレス臭』を発生させていくというような連鎖が考えられます。

 資生堂では、この『ストレス臭』を目立たなくさせる商品を来週春には発表するそうです。

 さて、みなさんはこの話を聞いてどう思われましたか? もし、店舗スタッフの中に強いストレスを持ったスタッフがいたと想像してみてください。 そのスタッフは頑張っているが、高い緊張のために『ストレス臭』を出している。

 一所懸命に接客や玉の上げ下げをしているが、お客様に疲労感を与えているかもしれません。 人間、疲れるとやる気が無くなります。 もう少し打とうという意欲が無くなるので、稼働が伸びない原因を作っているかもしれません。

 他のスタッフと接触することで、他のスタッフにも疲労感を与えているかもしれません。 疲れたスタッフがいるホールは、活気がありません。 活気のないホールは、お客様も粘らないので、余計に閑散とします。

 そう考えるとスタッフにストレスを与えるようなことは、なるべく避けたいものです。 ということはスタッフがストレスなく働ける環境整備が必要だということですね。 『ストレス臭』の存在が明らかになると、社員に対する扱いと業績は直接に結びついていることが分かります。

 問題なのは、ストレスの感じ方は個体差があるということです。 自由気ままに育った人は、少しの制約やプレッシャーでも高いストレスをしまします。 反対に、小さい時から我慢をしたりして苦労している人は、ストレスに対する抵抗力があります。 したがって採用の時は、なるべくストレスに対する抵抗力がある人を選ぶのが無難です。

 では、今いるスタッフにはどうするか。
 まずは、スタッフにストレスを与えるよう指示は出さないことです。 同じ注意や指示でも、一言言葉を添えたり、自分で気づくように仕向けたりする。 要するに伝え方を改善して、ストレスを抱かせないようにすることです。 次に考え方の改善、一般に言われているようにプラス思考をさせることです。

 来春、資生堂から『ストレス臭』対策グッズがでるまでは、『ストレス臭』を発生させないように頑張りましょう。 もちろん、役職者も例外でありません。 『ストレス臭』を発生させている店長。 最悪ですよね。
 自分も含めて、スタッフみんなが『ストレス臭』を発生させない取り組みが大切なのかもしれませんね。

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 ブリヂストンサイクルのマーケティングを参考にする!

 先週の初めにブリヂストンサイクルは、女性誌とコラボした新しい自転車を発表しました。 名前は「イルミオ」で、電動アシストタイプの自転車です。 価格は13万9800円とそこそこの値段です。

 ターゲットは、子供を自転車に乗せなくなる40代の女性です。 そういう女性が良く見る女性誌とコラボをして、デザインと色にこだわったということです。 機能の充実としては、走行中ペダルをこがない間、自動で充電する装置を搭載しており、 1回の充電で走行ファローが長くなるように工夫をしています。

 この「イルミオ」でヒントになるのは、ターゲットの絞込みという視点でしょう。 自転車業界はご存知のように成長分野とはいえません。 市場は飽和状態と言ってもよいでしょう。 その中で、漠然と良い自転車と考えて良いアイデアは出てきません。
 そこで、お客様をセグメントして、市場に影響力を与え、相手が準備不足の客層が無いかを探し、 そこに自社の力を集中し、勝ちを取り、シェア拡大の足掛かりとするということです。

 ブリヂストンのマーケティング担当者の後宮真緒さんは、 ニュース番組WBSのインタビューで、「他社は『子供乗せ』を卒業した層向けの商品は発売していない」と言っています。 そして、他社が追随してくるまでに、市場をとってしまいたいと言っていました。
 この世代は団塊ジュニア世代であり、そのボリュームを大きいものがあります。 そこをガッチリと抑え込んで、市場優位を確かなものにする戦略です。

 全面的にサービスを強化しても、他社との差別化まではいきません。 お年寄りから子供まで、みんなが喜ぶサービスがないのと同じです。 だから、ターゲット(メイン客)を鮮明にして、その層向けのサービスを充実させることで、 優位に立つという基本的なやり方です。 基本的なやり方だけに正確に行えば効果は高いものがあります。

 もし、地域で膠着状態こうちゃくじょうたいであり、何をしても効果が無いように思えるなら、 このセグメントによる特定層の攻略は有効です。
 お客様をセグメントをし、メインとなる客層を鮮明にし、 競合店がまだ充実させていない、あるいは弱い部分のサービスを、 こちらが先手を打って強化していくことで、取り込んでいくという作戦です。

 昔、良く聞いたのが女性客の取り込みです。 女性客を取り込むことで、男性客は勝手に増えていくというものです。 もちろん、ホールの置かれている状況がありますので、一概に女性を取り込めば良いとは限りません。 競合店より優位性を保てる分野で勝負しないと、最終的に負けてしまうからです。
 だから、相手より優位に立たないとダメな戦略を、一律にこれが良いとみんなにおススメすることは、詐欺的な行為になりますので、基本的にはありえません。 昔はパチンコ市場も良かったので何でもありでしたが、今ではそんなセミナーは影を潜めているように思います。

 しかし、セグメントをすることで、自分が勝てる客層を持つというのは、企業存続のうえで大切なことであり、真実です。 言いたいことは、それを各企業が自ら考える必要があるということです。
 考えられるかどうかは人材の質の差になってきますので、市場が閉塞されてくると人材育成をしている会社とそうでない会社の差が大きく表れてきます。 他業界を見ていて、大きな企業でもダメな企業があるので、企業の大きさとはあまり関係がないように思います。

 さて、セグメントの話は、マーケティングの本や企業戦略の本では必ず出て来る類のものです。 ご存知の方も多いと思います。
 ただ、セグメントには、センスが必要となりますので、それを磨く必要があります。 あなたの会社の中にいる人材を、鍛えるあるいは磨く必要があると言うことです。
 なお、くれぐれはセグメントは、ただ分けるということではないので、注意して下さい。

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 トヨタとソフトバンクの提携から自社を振り返る!

 10月4日(2018年)にトヨタとソフトバンクがモビリティーサービスの開発に向けて手を組むという発表がありました。
 車は、これまでは移動手段としての価値をベースとしながら、プラスアルファの価値を提供してきました。 例えば、車の運転を通じての快感の提供することの価値や所有によるステータスを表す価値などです。 しかしながら、自動運転の発達、IOTやロボット、通信の発達によって、プラスアルファの価値が大きく変わることが見えている。 そのために今回の提携を行うことで、新たな価値を生み出す布石を打っておくということなのでしょう。

 価値変化の典型が”運転することの喜び”というものでしょう。 この快感価値が、自動運転になると無くなります。
 ドライバーが「ドライブ」に出かけるというのは、行き先よりも運転すること自体の快感に重きを置いています。 このときのドライバーの感覚としては、車は自分の体の一部のように感じているように思います。 これは、同乗する人も多少なりともそういう思いは抱くのではないでしょうか。 もし、タクシーを使ってドライブをするということを想像していただくと分かり易いと思います。

 今、開発を進めているレベル4の自動運転では、行き先を入力すれば連れて行ってくれるので、 タクシーに乗っている気分と近いような感じがしてくると思います。 だとすれば、快感価値は低下していき、その部分の車の価値は下がっていきます。

 ステータスに関するものも、自動運転車の内装などは、違いが出せるとは思いますが、 情報系のサービスでは、あまり違いは出せないと思います。 もし、自動運転により車が自分の体の一部という意識が薄らぎ、タクシーに近いものになれば、 車自体のステータスという価値も、あまり意識されないような気がします。

 タクシーで、プリウスのタクシーに乗ろうが、クラウンのタクシーに乗ろうがあまり違いを感じません。 恐らくベンツのタクシーに乗っているからと言って、ステータスを感じると言うことあまりないと思います。 それと同じではないでしょうか。

 車の基本的価値の移動は変わらないにしても、快感価値やステータス価値無くなってくると、 車を所有したいという思いが湧いて来るでしょうか? 私はダンダン薄らいでくるように感じます。

 価値が減少すると車を買いたいとは思わなくなる。 だから、新たな価値を創造していくために、ソフトバンクと手を組むという選択をしたと思います。

 モノの価値は、不変ではなく変化していきます。 価値が減少すれば、それを購入したいという思いは薄くなります。

 時代とともに提供しているモノの価値が変化していく。 これはどこの業界でもおこり、パチンコ業界も例外ではありません。
 昔は、パチンコ台自体に価値があったので、ホールに導入すれば、人が集まった。 それはパチンコ台の価値が高かったからです。
 しかし、いろいろな規制等で、パチンコ台の価値自体が下がってしまった。 台の価値が下がってきているので、従来と同じことをしていては、ホールに通う人が少なくなっていくのは当たり前です。

 お客様が感じる価値を大きく分けると、
 
  お客様が感じる価値=パチンコ台の価値+ホールそのものの価値
 
ということになります。
 パチンコ台の価値は、メーカーが決めるので、ホールでは何ともできません。 しかし、ホールそのものの価値は、ホールがあげることができます。 これまでホールできることと言うことで、快適な空間、豊富な機種揃え、接客やサービスなどを充実して行てきたのだと思います。

 では、みなさんが提供している『ホールそのものの価値』とはなんでしょうか? それは、快適な空間、豊富な機種揃え、接客やサービスなどを充実してきたことで、強化されたのでしょうか?

 トヨタは、移動に関わるあらゆるサービスを提供する「モビリティ・カンパニー」への転換を目指すと宣言しています。 それを達成するためにソフトバンクの協力が不可欠だとしました。
 みなさんも目指すモノを明確にすることで、『ホールそのものの価値』が強化出来たり、 トヨタのように手を組む相手が見えてくると思います。
 秋の夜長、改めて自社の『ホールそのものの価値』とは何かを考えて見るのも良いのではないでしょうか。

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 立憲民主党の新企画を見てホール運営を考える!

 立憲民主党の党大会が、先週の9月30日(2018年)に開かれました。 その様子をニュース番組のWBSで取り上げていましたが、これまでの党大会とは違うユニークなものとなっていました。

 党首の枝野幸男氏の講演があるのはもちろんですが、 党大会を「立憲フェス」と命名し、文字通り、大がかりで華やかなものに変えています。 ブースを設け、飲食の販売を行い、お笑い芸人の風刺漫才やコンサートまで行っています。

 立憲民主党は、2017年10月の選挙で躍進し、森友問題などの追求で、2018年3月の支持率(NHK)は10.2%(自民党:36.3%)まで高めました。 しかしながらその後徐々に支持率をダウンしてき、9月では4.8%(自民党:35.8%)と半分以下に落ちています。 WBSでは、特に若者層の指示が落ちていると報道していました。

 この間行われた自民党の総裁選で、安倍総裁と石破元幹事長の選挙戦を見て、 石破元幹事長が野党の役割を果たし、野党の存在意義がますます失われてきたとも言われています。

 立憲民主党としては、これまでと同じことをしていては、 現状を打開できないという思いが強くあったように思います。 そこで今回、党大会の在り方を大きく変えて、若者にもなじみやすく、参加しやすいものにしたようです。

 主催者側の堀越啓仁議員は、「簡単に気軽にこれるようにネーミングから変えようと思った」と言われていました。 会場は高田馬場で、参加者は約1500人。 台風の影響が無ければ、もっと多くの人が参加したのかもしれません。

 商売に限らず、政治の世界でも同じことをするのではなく、 新しい試みを試しているということで、興味深く見ていました。

 しかし、気になったのが「お笑い芸人」や「コンサート」と取り入れることで、 意図した効果が上がったのかと言うことでした。 お笑い芸人の風刺ネタは、ただ安倍政権を批判したものであり、 弱者が慰め合っているような印象を受けました。 コンサートもどういう意図でやられているかが気になりました。

 WBSのインタビューでも、「気軽の来れていい」という声と、 「お笑い芸人やコンサートが党の政策にどう関係があるのか分からなかった」という人と 反応が様々でした。

 パチンコホールのイベントでも集客のためにしていることは理解できるが、 本当に効果があるのだろうか、その効果の有無をどのような形で判断しているのか不思議に思うことがあります。 実行に重きを置きすぎて、何のためにやっているか分からなくなってしまうパターンです。

 やらないよりはやった方が良いと言われますが、 目的を明確にせずとりあえずやるだけでは、効果も分からず体力を消耗してしまいます。 PDCAを回すことを考えると、目標の明確化、少なくとも効果の有無の判断基準の考察は欠かせないと思います。

 良くあるのが、目標もなしにDMを出すケースです。 このDMで何人の会員に来て欲しいなどの目標無しにDMを出すだけでは、 DMの改善やDMの効果検証もできません。
 実際、調べてみるとDMを出した場合と、DMを出さなかった場合の来店率の差が全くないということもままあります。 調べるまでは、そんなことはないという人でも、実際にデータ検証をしてみると事実が明らかになります。 データ検証のやり方は研修などをしていますので、ご利用下さい。

 立憲民主党に新しい試みは面白いと思い評価できます。 これはホールもどんどん真似すべきだと思います。 ただ、中身については目的を明確にし、各パーツがストーリーやロジックでつながることが大切だと思います。
 ただ集めればよいでは、立憲民主党に明るい未来がないように、ホールもただ集めるだけではまた稼働が下がってしまいます。 実際の「立憲フェス」の効果は分かりませんが、最悪のケースを想定し、自店の企画ではそうならないように、回避行動をとることが大切ではないでしょうか。

●参考研修:PDCAマネジメント研修
     :データ活用技術者養成講座

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 松坂屋上野店の「もったいない食品」から思うこと!

 9月26日(2018年)から松坂屋上野店で、賞味期限が間近な商品のセールをしています。 10月1日まで開催しており、来場見込は4万人だそうです。

 セールでどれだけ割引になるのかと言えば、 例えばオリーブオイル6割引き、ドレッシングが7割引とかなりの割引をしています。 ニュース番組WBSのインタビューで、初めて来場した人は「こんなに安いとは思わなかった」と答えていました。

 これは定期的にされているイベントだそうです。
 百貨店の商習慣として、賞味期限が3分の1以下となった商品は販売しないというルールがあるそうです。
 食の安全、安心を守るという点では、お客様が購入されてすべて消費するまでを考えると、 賞味期限が3分の1以下では、お客様が賞味期限内に食べてしまう確率が低くなるので、 販売は止めて置くことにしているのかもしれません。
 松坂屋で買う商品は賞味期限を気にする必要が無いというのは、お客様に買い物に対する安心をもたらす上で大切なことです。

 しかし、一方では廃棄食品問題があります。 まだ食べられる、まだ賞味期限が来ていないにも関わらず、処分される食品の量が問題となっています。

 この2つの問題に折り合いをつけたのが、このセールということになります。 賞味期限の短さを明確にして、割引して販売をすることで、 お客様に安全・安心のイメージを損なうことなく、廃棄してしまう商品を届ける。 お客様としても賞味期限が短いのを承知して買うので、賞味期限までに食べてしまうだろうということになります。

 この「もったいない食品」のセールの目玉は、災害時用の食品だそうです。 賞味期限が長いので、購入しても十分な長さがあり、 買って帰っても、非常食としての機能は十分果たせそうです。

 ここまで賞味期限切れ商品の話をしてきましたが、 このセールをホールで企画できればホールの社会貢献がしやすくなると思います。

 9月は防災の日があるし、最近災害が多いので、防災グッズをイベント景品として仕入れて、 お客様に提供しようとされたホールもあると思います。 また、災害に備えて、緊急時に地域の役に立つように、防災関連商品を充実させようと企画されたホールもあるのではないでしょうか。

 コミュニティホールのコンセプトの中に、災害時の地域へのお役立ちというものがあります。
 今年の災害を踏まえ、水や非常食を万一のためにある程度店に揃えて置くことを検討したとしましょう。 しかし、ネックとなるのは賞味期限が来ることです。 賞味期限が来て捨てるのはもったいないし、スタッフに持って帰らせるのも限界があるので、 今回の松坂屋上野店のように、賞味期限セールができれば、悪くないのではないでしょうか。

 お客様にとっては、防災グッズが安く手に入る。 ホールとしては、防災グッズを大量に処分できるので、新しい防災グッズが買え、災害に備えることができる。 そのことによって、万一の不測の事態に対応する準備ができる。 良いことが多いのではないでしょうか。

 基本的に値引きをして景品を販売してはダメだというルールがあるのは分かりますが、 防災グッズに関しては、例外としてもらってもいいのではないかと考えます。 それは、防災グッズをホール大が量に買い込み、地域の安全安心に貢献するというのは、 地域の安全安心を守る警察の仕事を助けるものとなると思うからです。

 特に水だけでも、パチンコホールが在庫を抱え、地域住民の万一のそなえることを認め、 賞味期限間近になった水の値引き販売を認めて欲しいものです。 個人的には、所轄に相談しに行く価値があるのではないかと思っています。

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