新型コロナ運営対策コーナー

コミュニティマネジメント研究所

新型コロナウイルスの除菌

 感染防止の視点を持つ

新型コロナウイルスの消毒についての基本的な知識③

◆次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水

 新型コロナウイルスの感染を防ぐために、消毒を徹底的にする店舗が増えています。 アルコール消毒液が無い時は、次亜塩素酸ナトリウムを薄めて使用することで代替品となりうるということで、利用者が増えました。 そのうち次亜塩素酸水も新型コロナウイルスに対して除菌効果があるとして、市中に増えてきました。
 ところが経済産業省(5月29日)から、次亜塩素酸水については除菌効果が確認できていないという発表があり、 文部科学省(6月4日)から、学校で噴霧をしないようにという発表もありました。 これに対して次亜塩素酸水を販売している「あかりみらい」さんから、次亜塩素酸水は有効であるという記者会見(6/11)がありました。
 では何が正しく、どうすればいいのでしょうか? これは、そう感じている人のためのページです。

(追記)次亜塩素酸水の効果の最終結果が出ました。(6月27日)

 正直言ってパチンコ店の営業中に使えるモノではないという結果です。 新型コロナウイルスを除菌するために20秒の時間が必要となります。 その待ち時間がネックになるうえに、すべて拭き取りが必要になり、手間がかかります。 手際よく掃除をして、お客様にどうぞというレベルの消毒液ではないことが分かりました。

<<次亜塩素酸ナトリウム>>

 塩素系漂白剤(キッチンハイター等)の主成分。

<効 果> 
〇新型コロナウイルスに対する除菌効果は経済産業省が確認済み。

<使い方>
〇身の回りの物の消毒に使用
  ※多くの人が触れるモノ(ドアノブなど)を拭いて消毒を行う

<注意点>
①人体(皮膚など)への使用はNG.誤って皮膚に付着すると皮膚がただれる
  ※ゴム手袋をつけて取り扱う
②薄めて使用すること。市販のものは濃度を0.05%まで薄める。
③酸性の液体と混ぜない。有毒ガスが発生する。(混ぜるな危険!)
④拭いた後は清潔な布で水拭きをする。
  ※衣服を脱色、金属を腐食させる可能性がある。

⑤噴霧は論外。吸引すると呼吸器系の障害を引き起こす可能性がある。

   【次亜塩素酸ナトリウムを噴霧しては絶対ダメ。危険!】

          ◇    ◇    ◇

<<次亜塩素酸水>>

 次亜塩素酸水は新型コロナ以前は市販されていなかった。 主に業務用ウイルス除去などに使用。 アルコール消毒液不足の時に代用品として注目される。

<効 果>
〇インフルエンザウイルスとノロウイルスについては消毒効果は確認されている。
〇新型コロナウイルスに対する消毒効果は有効とされていない(経済産業省)。
 ※20秒で新型コロナウイルス量を1000分の1まで減少した例も報告されているが、経済産業省では濃度で効果が変化する可能性があるとして引き続き検証をしている。

<注意点>
 食品添加物となっているが、食品中に残留してはいけないものになっている。 そのため洗うなどして取り除かれている。
 ※基本的に口の中や体内に入れるのはNG(京都女子大学名誉教授 小波秀雄)

<次亜塩素酸水の噴霧>
〇有効性、安全性の評価基準が定まっていない。メーカー、経産省HPの情報をよく吟味した上で判断が必要(経産省)
〇児童生徒がいる空間では、次亜塩素酸水を噴霧しないよう全国の教育委員会に注意喚起(文科省 6/7)

(注意)次亜塩素散水の消毒液81品目中66品目は空間除菌をうたって販売している(経産省調べ)。

     【次亜塩素酸水を噴霧してはいけない】

 次亜塩素酸水の噴霧によって、粒子が口や鼻を通して体内の粘膜などデリケートな部分を破壊する可能性がある! また、次亜塩素散水も手に付いたままではよくない。すぐに洗うことが大切。 次亜塩素酸水のスプレー噴射もダメ、空気中に吹きかけるのは噴霧と同じ。 (京都女子大学名誉教授 小波秀雄)  

 消毒液噴霧は感染者の飛沫接触によるウイルス感染力低下にはつながらない。換気の方が効果がある。 (東京医療保健大学名誉教授 大久保憲)

<事故情報データバンク>
〇職場で噴霧している。目が痛くなり腫れてきた。
〇加湿器に入れて噴霧、呼吸困難になりそう。

                 ・・・6月10日羽鳥慎一モーニングショーより

<<次亜塩素酸水の最終検証結果>> 追加(6月27日)

 6月26日、経済産業省は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の実験結果を基に、消毒液として使われている次亜塩素酸水の新型コロナウイルスへの効果について言及しています。 結論としては、新型コロナウイルスを99・99%除去する場合は、一定以上の濃度で一定の使い方をすれば効果があるとしています。 逆に言えば、その基準に満たない場合は、新型コロナウイルスを十分除去することができないということになります。 また、次亜塩素酸水は紫外線などで分解するため正しい保管方法も必要となります。

◆次亜塩素酸水の使い方

<拭き掃除>・・・次亜塩素酸水の有効塩素濃度80ppm以上のもの
①油など目に見える汚れを事前に落とす。
②消毒したい物品(テーブル等)を次亜塩素酸水で十分にぬらして20秒以上放置
③表面に次亜塩素酸水が残らないようにキレイな布等で拭き取る。

<かけ流しでの使用>・・・次亜塩素酸水の有効塩素濃度は35ppm以上のもの。
①汚れをあらかじめ落としておく。(目見える汚れがない)
②次亜塩素酸水の流水で、消毒したいもの(食器等)に20秒以上掛け流す。
③表面に次亜塩素酸水が残らないようにキレイな布やペーターで拭き取る。

<手や指の消毒には推奨しない>
 次亜塩素酸水はあまり推奨できない。石鹸などを推奨。

<次亜塩素酸水の噴霧は推奨しない>
 空間への噴霧で空気中に漂うウイルスを除去できるかについては、国際的な評価方法が確立されておらず、安全性も確認できないとして、国として「使用を推奨しない」としています。

参考資料:次亜塩素酸水の使い方(経済産業省)
参考資料:次亜塩素酸水の販売者・製造者向け資料(経済産業省)

■一言

 新型コロナウイルスと共存していくためには、除菌に対する正しい知識が必要です。 正しい除菌をしているつもりで、そうでない場合が一番最悪です。 但し、知見が進むと変わることもあるので関心を持ち続ける必要があります。

関連資料:界面活性剤による消毒
関連資料:アルコールによる消毒

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