企業戦略としての地域密着
『地域密着』の意味を、地域とうまくやっていく、地域と折り合いをつけて店舗を運営するということから、 地域への貢献や、地域と密着することを、自社の強さに変えている店舗ということへ、 意味合いを強める意図で、”本当の”という文字をタイトルに加えました。
私が行う講座の中で、「消極的地域密着店舗」という言葉を使っています。 規模も小さく、営業範囲が狭く、お客様は地元の人ばかり、従業員や仕入れも地域で完結してしまう、 結果的に地域に密着している店舗があります。 そういう店舗を、地域密着店舗と呼ぶと、『地域密着』の必要性や重要性という意味合いが、 ズレてくると感じたからです。
ただ経営者から『地域密着』をやれと言われて、『地域密着』とは何かを深く考えることなく、『地域密着』を連呼しても、 おそらくお客様や地元の人から見ると、政治屋のパフォーマンスと変わらないように 見えるのではないでしょうか。
「消極的地域密着店舗」に対して、「積極的地域密着店舗」という言葉を使っています。
前者と後者の違いは、地域に対する思い入れの違いです。
前者は、なぜ、この地域ですかと聞いても、
「親がここで商売をやっていた」
「たまたまこの地域で物件があり、商売をやり始めた」
というような受動的な答えしか返ってきません。
後者は、
「この地域が好きだから、ここで商売をしている」
「この地域の人に貢献したい」
など能動的な答えが返ってきます。
私は、店長に能動的な思い入れを持たなければ、 地域密着の取り組みは、商売上のパフォーマンスにしかならないと考えています。 果たして、それで地域の人はそのお店に対して、地域に無くてはならないお店と感じてくれるでしょうか?
そしてもう一つ重要なことは、地域密着であるということを、強みに転嫁しているかどうかという点にです。
地域密着と言っても、何も特徴がなく、地域密着でないところと比べ、
商品の魅力や商品の品揃え、接客・サービスで何も違いがなければ、
’この地域が好き’と言っているのは、単なる独りよがりの自己陶酔でしかありえません。
それでは、地域の人から、積極的に応援されることはないでしょう。
したがって、地元の人から応援されるには、地域密着を自社の強みに転嫁する工夫が不可欠です。
いろいろな業界の地域密着の成功店舗を分析していると、その工夫が見られます。
もし、今、そういう強みがないのであれば、それを考えるのが地域密着型を目指す
経営者や店長の仕事だと思います。