◆◇◆ 第31話 社長の後継者選び ◆◇◆
むかしむかしあるところにパチンコ店を経営している会社がありました。
昔は業績が良かったのですが、最近はダンダン稼働が減り、業績が悪くなってきています。
社長も年を取り、昔のようには思たような指導ができません。
そろそろ後継者を決めて、任せようと考えていました。
この会社の様子を2匹の悪魔が見ていました。
「先輩、今回はこの会社にとりつくんですか?」
「そうだ。この会社は後一押しで、下り坂をいっきに転がすことができる」
「具体的にはどうするんですか?」
「もうすぐ店長会議が始まる。そこで分かるさ」
社長を中心に店長会議が始まりました。 業績が下がっているので、社長がピリピリしており、会議に雰囲気は良くありません。 多くの店長が業績不振の原因を問われて答えることができません。
そんな中、店長Aが自分なりの考えを話をしました。
「私はやはり一番の原因は、最近の新台に魅力がないことだと思います。
もちろんそれをカバーするためにいろいろな企画をやっていますが、役職者も頼りなく、言ったことができません。
それからスタッフの質も落ちていて、接客対応も良くなく苦労しています。
せめてもう少し出玉が出来ればいいのですが、社長に無理は言えないので、正直なところ困ってます。
でも、私なりに頑張らないといけないという思いでやっていますが、なかなかうまくいきません」
社長は店長Aの話を聞いていました。
その時、先輩悪魔が社長の耳元に行き、囁きました。
『店長Aは優秀だよ原因の分析もできるし、部下に恵まれたら、もっと頑張れるよ。社長の後継者はこの人がイイよ・・・』
続いて、店長Bが自分なりの考えを話をしました。
「私も、やはり新台の魅力が落ちてきているのが大きいと思います。
それに対して何らかの手を打てなかった自分の能力の無さあると思っています。
役職者も頑張っていますが、私自身、十分指図が出来たとはいえませんでした。
スタッフも十分育成できたとは言えず、力不足を感じています。
私自身、もっと頑張らないといけないと感じています」
店長Bが言い終わらないうちに、悪魔は社長の耳元に近づき、また囁きました。
『店長Bは、まだまだ能力不足です。自分でも自覚しています。店長Aを店長Bの上において、店長Bの能力アップをさせるといいですよ。
そのためにも店長Aを後継者にするのが最善です・・・よ』
戻ってきた先輩悪魔に後輩悪魔が尋ねました。
「本当にこれでこの会社はダメになるんですか?」
「俺を疑うのか?」
「そういうわけではありませんが、一応理由をお伺いしたいと思いまして・・・」
「簡単さ、A店長もB店長も原因の話をした。
ただA店長は、原因をすべてを他者(遊技歳、役職者、スタッフ)にありとした。
一方、B店長は、原因を自分の問題と考え対応しようとしている。
ここがポイントだ」
「ここがポイントですか」
「A店長は悪いのは他者で、自分に問題ないとした。
Aは他者を貶(おとし)めて、自己を肯定する人間だ。
そんな人間が中心にいたら、優秀な人間は去っていく」
「なるほど」
「そして、他者が悪いと思っている間は、Aは絶対自己向上しない。つまり会社の能力向上せず、ますます環境に対応できなくなる」
「なるほど、そして倒産ですか・・・」
「後輩よ、お前の役割は分かっているな」
「はい、Aに絶えずお前は正しい、間違っていないと囁くことです。」
先輩悪魔は天使のような微笑みを浮かべました。
しばらくして社長は、来期から店長Aを本部の課長に引き上げて、統括店長をさせると発表しました。
(ポイント)
原因分析をして、他者にだけ原因を見つけることしかしないのは、言い訳にしかすぎません。
言い訳と原因分析を混同するとマズイというお話です。
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