◆◇◆ 第41話 最良の施策のための努力 ◆◇◆
むかしむかしあるところにパチンコ店の店長がいました。
市場が縮小してきており、そのうえ新型ウイルスの影響もあり、いろいろな施策を打つのですが、なかなか業績がありません。
改善のヒントをもらいたいと、銀行に勤めている友人を誘ってレストランにいくことにしました。
店長は待ち合わせの駅に早めについたので、待合所で少し時間を潰すことにしました。
待合室には人が少なく、座ったところから大きなテレビが良く見えます。
見るともなくテレビに目をやると、問題となっている首相の夜の会食について、番組のコメンテーターがコメントをしていました。
「首相は、いろいろな人と会って情報を収集して、それを政策に役立てたいと思っているんですね。
だから、多くの人と毎日会っているんです。
これは首相の政府運営のスタイルです。問題ありません」
コメンテーターは毎晩の会食に肯定的でした。
その後にその時の会食者のメンバーが紹介されました。
大物政治家、元大物司会者、元大物スポーツ選手、大物社長、元有名大学教授・・・
そうそうたるメンバーです。
店長はそのテレビを見ながら思いました。
『これでは国民の苦しい実態はわからないだろう。
みんなそれなりの財産を持っている人たちがほとんどじゃないか。
世間の苦労とは違う苦労をしている人たちだ。
夜の会食は豪華とテレビで報じているが、彼らにとって料亭は俺たちのファミレスみたいなものだろう。
そんな人たちに会って何の情報を収集しているんだろう?
彼らが本当に困っている国民のことを教えてくれるとでも思っているのだろうか?
困っている国民に合うならまだしも、そんなリッチな上級国民?にあって会食して、何がわかるのだろう?
助けたい国民ことを統計上の数字ではなく、本当の姿、生の声を知らないかぎり、国民に寄り添った良い政策は出来ないんじゃないか!』
上級国民に会ってみんなの意見を聞いていますという首相の態度、それを良しとするコメンテーターの態度に腹が立ちました。
店長は心な中で「、支援の政策を考えるなら、助けたい国民のことをもっと良く知るべきだろう!」と心の中で叫びました。
店長はこのままでは政権の支持率は急落するだろうと思いました。
◇
店長はテレビに夢中になっていたのでしょう。
ふと気づくと友人が立っていました。
「おまたせ!」
二人は、駅からすぐ近くのファミレスに行きました。
「今日は忙しいところ済まない」
「いいさ、僕でお役に立つなら」
友人は答えました。
二人は注文を終え、話の続きをしました。
「ところで毎日忙しいんだろう?」
「そうなんだ、取引先に行けないから、テレビ会議をしたり、テレワークをしているよ」
「君の方は?」
「こっちは現場に出ないと話にならいから、毎日出勤さ。
それに新台が出ると現物を見てから判断しないといけないし、
備品の業者や販促物を持ってくる業者にも合わないといけない。
こんな時期だから集客につながるアイデアを持ってくる業者には積極的にあっているよ。
なんせ集客は一番大切だからね」
「なるほど・・・忙しそうだね」
「そうなんだ」
「ところで君は、お客様と話をしたり、お客様の行動を直に観察したりする時間を週にどれくらいとっている?」
と、友人は尋ねました。
店長は少しムッとして答えました。
「さっきの俺の話を聞いていただろう。
俺はは業者に合うだけでも忙しいんだ。
それに所轄にもいろいろな申請を出しにいかないといけない。
お客様と話したり会うなんて、そんな悠長な時間を取れるわけがないじゃないか。
時間が足りないから、君にいいアイデアを授けてもらおうと思って、今日誘ったんだ」
店長は自分が置かれている状況をすぐに理解できない友人に少しいらだちました。
「・・・なるほど・・・・ねぇ」
店長の様子を見ていた友人は、意味ありげに深く頷きました。
(ポイント)
岡目八目という言葉があります。 岡目八目とは、Weblio辞書によると 「 問題の渦中にある本人たちよりも、それを傍観している第三者の方が上手く判断できるものだ」 という意味のことわざとなっています。
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