コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第51話 ご案内の徹底 ◆◇◆

 むかしむかしあるところに男がいました。
 男はパチンコが好きで、一週間に2、3回、一番近くのパチンコ店(A店)に遊びに行っていました。 男は自分の気に入った台があり、それを打てれば満足でした。 長い間通っているので、スタッフの顔も覚えており、安心感がありました。

 ある日、いつものようにA店に行き、ジェットカウンターで玉を流してもらっていると、店舗スタッフがニコッと笑って声をかけてきました。
「こんど、〇日は新台入替なのでよろしくお願いします」
 男は頷きました。『今度の新台入替は力を入れているのだろう』などと思いながら、チケットをもらってサービスカウンターに行きました。
 そこでもスタッフが、ニッコリ笑って、新台入替の案内をしていました。
 帰りにポスターを見ましたが、あまり興味のある台はありませんでした。

 翌々日、いつものA店に行って、ジェットカウンターで玉を流してもらっていると、この前のスタッフが同じように声をかけてきました。
「こんど、〇日は新台入替なのでよろしくお願いします」
 男は黙って頷きました。
『店長に言わされているんだろう。そう言えば最近、お客さんが少なくなった気がする』  そんなことを思いながら、サービスカウンターに行くと、 また同じようにカウンタースタッフがニッコリ笑って、「こんど、〇日は新台入替なのでよろしくお願いします」と声を掛けられました。
「俺は新台には興味がないので、同じ案内は聞きたくない」と男は思いました。

 その次に行った時もまた同じスタッフが玉を流してくれたのですが、 またのニッコリ笑って、「こんど、〇日は新台入替なのでよろしくお願いします」と言ってきました。 男は思いました。
『このスタッフ、俺に3回同じことを言っていることに気づいていないんだろうな』
 観察しているとジェットカウンターとサービスカウンターでは案内を欠かさず同じ案内をしているようです。 こんな小さな店で客数も知れているのに、お客を覚えていない、だから同じことを何回も言えるのだろう。 鬱陶(うっとう)しくなくった男は、別の店舗に行ってみることにしました。

寓話

 A店の店長は事務所で役職者と話をしていました。
「主任、こんどの新台入替はいつもより人が集まるだろうか?」
「店長、集まりますよ。今回はお客様全員に声を掛けて案内をすることを徹底させましたから大丈夫です」

     ◇    ◇    ◇

 新台入替の日はいつもの新台入替より盛況でした。
「店長、今日は朝、いつもより並んだ人が多かったと思います。結構知らない顔の人も多かったようです」
「やっぱり、告知を徹底すると効果はあるな。これからもこの調子でやっていこう。 平日の稼働が低下気味なのは気になるが、新台入替の集客を強化して、それを切り口にして突破していこうじゃないか」
「そうですね」
 そう言って、二人は満足そうに店内監視モニターを見ていました。

     ◇    ◇    ◇

 数か月後、久しぶりにA店に来た男は思いました。
「だいぶ人が少なくなってきたな。いつも平日に来ている常連がいなくなっている。 小型店なのに常連の顔を覚えられないような店が、生き残れるほど甘い業界でないということだろう」
 男はこれが最後かもしれないと思いながら、その店で遊技を楽しみました。

     ◇

 

(ディスカッションのポイント)

1,お客様が自分はこの店の常連と思う来店頻度はどれくらいと思いますか?

2.自分は常連と思っているのに、一見さん扱いされたら人はどう思うでしょうか?

3.もし、スタッフがお客様の顔を覚えた対応をしていれば、どうなったでしょうか?

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