コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第52話 農夫と5人の息子 ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店の店長がいました。
 店長は研修に参加し、ある店舗活性化戦略を学びました。 店長はなるほどと思ったものの、任された店舗は新店なので稼働も良く、あまり気にしていませんでした。 ところが2,3年経つと稼働が下がってきたので、一発逆転のためにその戦略を実行しましたが、なかなか効果がでませんでした。
 店長は近くの教会に毎週日曜礼拝に行っていたのですが、その時、神様になぜ効果が出ないのか心の中で問いかけていました。 ある日教会でひとり祈っていると突然天使が舞い降りてきました。 そして、天使は言いました。
「神様から預かってきたお話を伝えるから、謹んで聴くように!」
 そう言うと天使は次のような話をしました。

     ◇    ◇    ◇

 むかしむかしあるところに農夫がいました。
 彼はとても美味しい果物を山から見つけてきて、それを育てて生計を立てていました。 彼はその果物のタネを秘密として、息子にもタネを渡しませんでした。 ところが冬のある日、彼は5人の息子を呼んで、言いました。
「私はお前たちに財産を分ける。 これまで秘密にしてきたあの果物のタネと土地を平等に与える。 息子たちよ。 このタネをしっかり蒔けば、十分食べていけるだろう」
 そう言って、5人の息子を見回しました。
「私はこれまで少しづつ貯めたお金で、これから南の島で好きなことして過ごす。 しかし、お前たちが心配なので、5年後にまたここに戻ってくる。 その時に、お前たちの暮らしぶりを聞かせてくれ」
 農夫は、5人の息子に果実と土地を平等に与えると旅立っていきました。

寓話

     ◇    

 5年後、農夫は息子の様子を見るために約束通り、やってきました。

 まず、長男が報告に来ました。
「お父さん、お久しぶりです。一応生活は出来ています」
「そうか、あの果物は?」
「お父さんと同じように、4月に種を蒔き秋に収穫をしています。 年によって出来栄えは違いますが、食べていけます」

 次に次男が報告に来た。
「お父さん、お久しぶりです。今は町工場で働いて何とか食べています」
「そうか、あの果物は?」
「お父さんからもらった果物のタネは役に立ちませんでした。 全然ダメでした」
「いつ植えたんだ。10月です」
「お父さんがいつも4月に植えていたのを知らなかったのか?」
「知っていましたけど、私もバタバタしていたので、暇が出来た10月に植えました。 でも全然ダメで、しかたが早々に土地も売りました」

 次に三男が来ました。
「お父さん、お元気でしたか。私はそこそこの暮らしはしています」
「そうか、あの果物は?」
「初年度は3月、4月、5月に分けて植えてみました。 気温と降水量と日照時間の関係を調べて、次の年からは気象会社の長期予報を参考にして、 成長に最適と思える時期に植えるようにしたら、お父さんの収穫の1.5倍とれるようになりました」

 次に四男が来ました。
「お父さん、お元気でしたか。私は結構良い暮らしをしています」
「そうか、あの果物は?」
「三男の兄さんから話を聞いて、ビニールハウスをつくり、最適な条件にして、冬からタネを植えて、早目に市場に出しています。 市場では今の時期に珍しいと高値で買ってもらっています。お父さんの2倍ほど儲けることができるようになりました」

 そして最後に五男がやって来ました。
「お父さん、ありがとうございます。3年目までは苦しかったですが、これからはがっぽり儲けます」
「そうか、あの果物は?」
「三男の兄さんの話を聞いて、もらったタネを一年中収穫できるように品種改良をすることを思いつきました。 改良して冬や夏、秋にタネをまきましたが最初は上手く行かず苦労しましたが、ようやくどの季節でも果実を実らせることに成功しました」

 5人の息子たちの話を聞き終わると農夫は、下の3人の息子に南の島でやりはじめた新事業の経営に参加させることにしました。

     ◇    ◇    ◇

「神様からのお話は以上です。
 賢いお前なら、神様の有難いお話を聴いて”さとる(パチンコ店の話に置き換えて考えること)”ことができるでしょう。 神は公平であり、エコヒイキはしません。 今の結果は必然でしかありません。 改善のヒントはこの中にあります」
 そう言い終えると天使はほほ笑み、消えていきました。

     ◇

 

(考察のポイント)

1.農夫の話をパチンコ店の話に置き換えてみましょう。

2.店舗活性化戦略が有効とした場合、店長が成果を出せない理由は何でしょう?

3.店長の改善の方向性はどのようなものがあるでしょう。

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(あとがき)
 寓話で今回の趣旨を伝えようとすると長くなってしまうので、何回も書き直しました。 解説を寓話の中ですると、長くなりすぎるように思ったので、今回はバッサリ切っています。 思いが伝わっているか少し不安です。

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