コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第53話 後輩のラーメン店 ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店の店長がいました。
 高校の後輩がラーメン店を始めたと連絡があったので食べに行きました。 味は美味しく、これならまた来てもいいなと思いました。

     ◇    

 久しぶりに食べに行くとお客様があまり入っていません。 理由を聞くと、最近新しいラーメン店がオープンし、同じようなメニューを出してきて、 お客の取り合いをしているということでした。
 店長は言いました。
「それならいい方法があるよ」
店長は後輩にお客様に声を掛け、お客様のことを覚え、人間関係を築くことをアドバイスをしました。 後輩はそれを聞いて、さっそく実行することにしました。

     ◇ 

 しばらくして行ってみるとお客様が結構増えています。 後輩に話を聞くと、言葉を交わすようになって、常連のお客様が増え、お客様の入りが安定しきたということでした。 店長は後輩に言いました。
「同じものを買うなら、自分が好感を持った人から買いたいとだろう。 これを関係性のマーケティングと言っている。 俺に店でも実践している。 その企業が提供している基本価値の違いが出せないときは、これが一番効果がある」
「先輩、基本価値ってなんですか?」
「お前のラーメン店なら味かな。 美味しさの好みは人によって違う。 同じ人でも、体調によって違う。 だから、競合店より美味しいと言っても、個々人で好みが違うから、必ずしもイエスとは言ってくれないだろう?」 店長は後輩を覗き込んだ。
「そうですね。 うちに来ているお客様も、絶対この味じゃないとダメという人は少ないと思いますよ。 確かに多くの上手いものの中の選択肢の一つには違いありません」
「そうだろう。 うちの業界も同じなんだよ。 パチンコ店が提供している勝ち負けは、個人の運の要素が大きいだろう。 同じような店舗で、勝てる勝てないの絶対的な違いは出せない。 だから、お客様との関係性を作って、同じ勝負をするならこのホールにしようと思ってらうように努力している」
「なるほどよくわかりました。 また、いろいろとアドバイスをお願いします」
と言って後輩はニコッと笑った。

寓話

     ◇    

 ある日、店長の携帯に後輩からメッセージが入っていた。
『先輩、ご無沙汰しています、また、アドバイスをいただきたいので、こちらにいらっしゃいませんか?特性ラーメンおごります』
 店長は翌日後輩のラーメン店に行った。
 後輩は喜び早速、店長に特製ラーメンを出してくれた。
 店長は一口食べて、味が落ちていると思った。 以前食べたものより、少なくとも美味しいとは言えない。 店長は素知らぬ顔で食べ終わると、後輩声を掛けた。

「ところで、何かあった?」
「実はお客様が少なくなってきたんで、何か良いアイデアがあればいただきたいと思って・・・」
「いつからお客様が減り出しているの?」
「2か月ぐらい前から徐々に、・・・」
「2か月前に何か商売のやり方を変えた?」
「特に何もしていないです」
「どんなささいなことでもいいから思い出してみて・・・」
「そう言えば、2か月前材料の豚骨が高騰したので、ちょっとランクの低い豚骨に変えました」
「少し味が落ちたんじゃなない?」
「分かります?少し味は落ちましたけど、利益を維持するためにやむを得ずやりました」
「それがお客様の減った原因だね」

「え、それが原因ですか?だって先輩、以前お客様は味が良くわからないって言ってたじゃないですか!」
「そんな言い方はしてない。高いレベルの美味しさは好みがあるので、絶対的な違いは出せないって言ったんだ。 美味しいものとそうでないものは分かる。 げんに今食べた特性ラーメン、俺でも味が落ちたことが分かった。」
「でも、お客様との関係作りをしていれば、何とかなるんじゃないんですか?」
「ならないよ。お前は寿司屋の大将と親しいからといって、マズイ寿司でも我慢して食べに行くか?」
「絶対行かないです。マズイと本人に言えないので、その店に行かないようします」
「今、お前の店に起こっているのはそういうことだ。お客様は基本価値が満足に出せない店舗にはいかないよ」
「・・・・・・・」
「競合店が同じ豚骨ラーメン店だから、お客さんがそっちへ流れたんで、すぐにお客様が減ったんだろう。 もし、同じ客をターゲットとしている店が無ければ、お客さんも行き場がないので、もっと緩やかに減っていたんじゃないかな」

「先輩どうしたらいいんでしょうか?」
「とりあえず、味を元に戻すことが第一だろう。 関係作りをするというのは、信用を作っているのと同じ。 その信用の中に、お客様の期待に応えて良いものを提供するという意味も含まれている。 それを忘れるなよ」
 そう言い終えると店長は後輩のラーメン店を後にしました。

 店長は、帰り道、もしかしたら、うちの役職者の中にも、関係性マーケティングを勘違いしているかもしれないと思い、 基本である遊技機揃え、台整備、設備のクリンリネスや接客接遇の大切さの話をすることにした。

     ◇

 

(考察のポイント)

1.関係性を築くポイントは、何でしょか?

2.関係性を築いた相手が、商売の基本レベルを下げてくるとあなたはどうしますか?

3.お客様の立場に立って、関係性を築きたいと思う店舗はどのような店舗でしょうか?

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