コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第61話 思慮が足らない台清掃 ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店の店長がいました。 最近、稼働が思わしくないので、何とかしたいと思っていました。
 そんな時、参加した研修会で、クリンリネスを徹底して稼働が上がったという話を聞きました。 「そう言えば、最近、クリンリネスについて特に意識したことはなかったなぁ」
 店長は、お客様が移動した後の台が、しばらくそのままになっていることを思い出しました。 店長は帰って、さっそくクリンリネスを徹底するように主任に指示を出しました。

     ◇ 

 クリンリネスを強化して何となく稼働が上がったように思えたのですが、 最近は前以上に稼働が落ちてきています。
 店長は主任にクリンリネスの状況を聞きました。 主任たちは真面目に取り組んでいること、特に台の清掃は感染対策も兼ねて徹底していると答えました。 おかしいと思いながらも、他の業務が忙しく、そのままにしておきました。

 店長は、競合店を視察して、早番と遅番の交代前に店舗に出勤します。
ある日、お昼に出勤をするとホールからお客様がそそくさと出てきました。 表情を見ると怒っています。
 店長は、お客様に声をかけました。
「いつも、ご利用ありがとうございます。どうかされましたか?」
その客は店長の顔をみるなり、
「この店は不快だから、もう来ない」
そう言って車に乗り込み、駐車場を出て行きました。

寓話

 店長は事務所に入ると、主任を呼び出しました。
「さっき、お客様が怒って帰っていったけれど、何かあったのか?」
 主任は答えました。
「さっき怒って帰った客ですね。 スタッフが清掃したいたら突然怒り出して、スタッフも何か分からないようでした。 私も駆けつけたのですが、お客様はそのままホールを出ていかれました。 スタッフに訊いても、台の清掃をしていただけというので、何でお客様が怒ったのかは分かりません」
 店長は経験上いろんなお客様がいることは知っています。 そういう予測不可能な客なのだろうと思い、それ以上は追求しませんでした。

     ◇ 

 ある日事務所に行くと社長が視察に来ていました。
 社長は主任を呼びつけて叱っています。
「お前は店を潰す気なのか?こんな台清掃を誰が指示したんだ」
「・・・・・・店長からクリンリネスを徹底するように言われて・・・・」
「店長はどこにいるんだ」
「・・・もうすぐ来られると思います・・・あ、店長・・・」 主任と目が合った店長は社長のところにいきました?
「どうしたもこうしたもないだろう」そう言って、店内の監視カメラの映像を店長は見せられました。
 そこには、お客様が席を立つと間髪を入れずに黙々と台清掃をするスタッフの姿がありました、
 後でスタッフから話を聞くと、午前中は時間に余裕があるので、お客様が移動した後、どれくらい早く台清掃ができるか競争していたということでした。
 確かにお客様からすれば、台をカニ歩きに対することに対するいやがらせともとれる行動になっています。

     ◇ 

 翌日、店長は本社に呼びつけられ、現場指導について、社長からさんざん小言を言われたのは、言うまでもありません。

 

<解説>

 ホールスタッフとして、自分の行為がお客様にどのように受け取られるか、常に考えて行動しなければならない。 行動目的そのものに問題が無くても、お客様視点に立ってトータルで見ると問題となることがあります。

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