本当の地域密着店の作り方(実践編)

店舗(パチンコホール)が地域のコミュニティ広場としての取り組みを始めた

関根翔太のコミュニティホール指導回想録

『本当の地域密着店の作り方』の後継本となる予定の連載です。

◇◇◇ 店舗会議②(9月)

 尾田主任は、感謝カードの記入状況、遊技機勉強会の状況、PRしたリーフレットの効果などを報告した。 実際のところ、お客様からスタッフに対して質問が増えているというとはあまりなく、再改定を考えていると話した。
「リーフレットの改善をPRした機種の稼働は、上がっているのですか?」
「上がっています。一人当たりの会員アウトも上がっています。しかし、もっと質問が多くなるようにさらに改訂を考えています」
「分かりました。引き続きお願いします」
 翔太としては、会員アウトが上昇し、稼働が上がっているので、お客様に対する強化機種のイメージは伝わっていると思っている。 さらなる改善は、本人の目的意識が明確なだけに、継続してやらせてみようと思った。

「では次は機種アンケートです」
 機種アンケートについては、来週予定しており、8月にお客様が増えたので、好みの機種が打てないということが無いように対応したいと報告した。

 そして最後に写真同好会について現状を報告した。 店舗公募をしたところ、参加メンバーは、森川副店長、自分、アルバイトスタッフの佐々木、田島の4人になったこと。 お客様の参加の約束をいただいているのが3人。現在、便利カード作成時に集めた情報を基に、趣味が写真という人に、個別でDMなどを送ってアプローチをしている。

「お客様の中に写真館をしている方がいるって、誰か言っていたと思うけど・・・」
「店長、その方は高橋さんです。一応、会のメンバーになってもらいました」
「それはナイスですね。で、その方に知恵を借りたらどうですか?」
「知恵ですか?」
「そうです。おそらくプロでしょうから、メンバーの撮影の指導をしてもらうのはどうかなぁ。そう言えば、近くに重要文化財になっている神社がありますよね。それにここから車で15分ほど行けば、海岸や渓谷もあったよね。撮影会を開いて、うちのホールで展示をしてもらえばどうですか?」
「そうですね。一度訊いてみます」
「コミュニティは仲間づくりだから、うちのコミュニティホールの考え方をはなして、お願いしてみたらどうでしょう。尾田主任。尾田主任自身が高橋さんの写真館に、一度伺うのも良いかもしれないよ」
「パン工房さんみたいにですか」
「そうです。そして親しくなっていろんなことを聞いて下さい。そうすればさらに可能性が広がります。例えば、高橋さんが何か写真で賞を取られているかもしれないでしょう。もしそうなら、この地域に有名人としてPRすることもできますよ。それから、イベント撮影ってありますよね」
「七五三やお宮参りですか。結婚式の写真?」
「そう、そう、そういうものをコラボして、高橋さんの売上のお手伝いができるかもしれない。Win-Winの関係を築けるかもしれないよ」
「そうですね。もしかしたら、高橋さん自身凄い写真を撮っていて、高橋さんの写真展示会ができるかもしれないですね」
「そうだよね。一度、高橋さんに相談に行ったらどうですか?」
「わかりました」
 尾田主任の報告は終わった。

 翔太は話をしながら、もっとお客様と交流を持つべきだと思った。 ホールの中だけで完結しようとすると限界があるし、魅力が乏しくなる。 このホールという集客施設を自由に使う発想に立つと、お客様に面白い提案ができ、もっとワクワクできるのではないかと感じていた。

「それでは吉村主任、お願いします」
 吉村主任は、まず『朝の健康体操の会』の話をしてきた。 高齢者の参加者は増えたが、小学校などの子供参加がなくなったので、参加者は横ばい状態であること。 太極拳体操をマスターした人もいるので、劉先生に見てもらい、マスターしているという人には、『マスター証』を出してもらうことにした。 そして、一人で完璧に太極拳体操が出来る人は、『上級マスター証』を出してもらっている。
 この証をもらった人は現在6人だけで、師範代のようなことをしているアルバイトの喜多君、 それからリーダーの明日葉と浅沼店から来ている近藤リーダーと段田リーダー、それに吉村主任、あとは、お客様の中で2人ということであった。

「そう言えば、浅沼店は9月5日から太極拳体操を始めるんでしたね」
 翔太は、星野店長に話を振った。
「まだ暑いけど、健康の秋ということで、この店に倣って健康体操の会をはじめることにしたよ。 5日と6日は劉先生に来てもらうけれど、普通の日はこのリーダー2人でやってもらうことにしている。 とりあえずアルバイトスタッフも半分くらいは、できるようになっているかな」
 浅沼店としては、劉先生のような人が身近にいなかったので、苦肉の策の運営となった。 でも劉先生を有名人扱いにすることによって、逆に集客をスムーズにしていた。
 吉村主任は、感謝シールの配布状況の説明。総付け景品は豆の木パン工房になる予定であることなどを説明して終わった。

 森川副店長からは、来週、山口饅頭堂に豆の木パン工房の江崎オーナーと訪問する予定であり、 和菓子をもらってくるので、試食アンケートへの協力のお願いがあった。

 最後に、翔太が認知症講座の申し込みの現状を報告した。
 現在、一般からの参加者が12名あり、スタッフが全員受講するので、合わせると50名近くになるので、定員となったことを告知するつもりであることを話した。
「結構集まりましたね」
「吉村主任がやっている『朝の健康体操の会』の人の参加が多く、9月に認知症講座の話をしたらすぐに10名ほどが参加を申し込まれたね。 後はスタッフが親しいお客様に声を掛けたら、すぐに一杯になりました」
「やっぱり、このホールの会話数の多さですか」
「そうですね。大滝店で最初にやったときには、2名しか一般参加者がいませんでしたら、それに比べると雲泥の差ですね」
「浅沼店も、やはり便利カード切り替えをした方が良いのかな」
 星野店長はカードの切り替えに予算がかかるのでためらっていたが、実際に話を聞くとやるべきかという考えに傾いていった。

「店長、ニュースレターを配ると参加者が増えるかもしれませんが、どうしましょう?」
 西谷主任が訊いてきた。
「取り敢えず定員に達したことをお伝えして、キャンセルが出たら連絡をするとしておいてくれ、スタッフの中でも、 どうしても参加できないスタッフが出てくるかもしれない」
「了解しました。リーダーにも伝えておきます」
 西谷主任がメモに走り書きをした。
「それではこれで、9月店舗会議を終わります。コミュニティの基礎固めまであと一息です。みなさん頑張りましょう」
 翔太の声で、みんなが席を立った。

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