地元密着やコミュニティ作りの成功事例は、
至るところに存在しています。
それを意識して、真似る、或いは学ぶことは、
地元密着店舗やコミュニティホールを効率よく進めることが出来ます。これを『リンク』と言います。
また、成功事例を知っていることで、自信を持った取り組みが出来るようになります。
但し、このコーナーでは、パチンコ業界のものは取り上げません。
個人的に二番煎じ(『パクリ』)は基本的に好きではないからです。
地元密着化やコミュニティ化の参考になる企業
地元密着推進やコミュニティ推進にリンクできる参考事例
■■D&デパートメント(D&D)■■
この会社は百貨店ですが、売るものに強烈なこだわりを持っている企業です。(2015/10 「カンブリア宮殿」大阪テレビで放映)
この企業のTOPは長岡賢明という方で、 『良いものを長く使っていく、世の中をつくりたい』 ということでこの企業を作られています。
〇会社概要
従業員:92人(2016年2月現在)
資本金:1200万円
売上高:13億2000万円(2016年2月期)
〇事業内容:
デザイン生活用品の商品企画、製造、卸、および販売
レストラン事業、無農薬野菜などの生産
ブランド構築およびコンサルティング
地域観光資源発掘およびコンサルティング
・・・ホームページから抜粋しています。
〇販売方法も参考になります。
良いもの長く使えるものにこだわっているだけあって、販売価格の横に商品の年齢が書いてあります。 ⓯と書いてあれば、15年前に作られたものとなっています。 お店の中には、100年以上のものもあり、40年以上はざらにあります。 良いものを買いに来たお客様は、それを見てこれだけ長く愛用されているものだから、 安心できると思います。 もちろん店で試用もできるので、 例えば醤油差しを試そうと思えば、実際に醤油を入れて注ぎ口が垂れてこないか試せます。
パチンコ台で言えば、何年前に販売されて、全国で今何台が稼働している人気台ですとか、 これは、すでにほとんどのパチンコ店で撤去されている台で、 レアものですとかいう案内ができるということです。 特に、県内ではうちのホールだけしか設置してないなどは、 希少性のアピールすることで、お客様の関心を引くことが出来ます。 その見せ方を工夫することで、台の興味を引くヒントが見つけられるかもしれません。
また販売員も商品に詳しく、商品の特徴だけでなく、その製造過程やこだわりの部分、 生産者の思いを伝えることができ、お客様は納得して買い物が出来るようにしています。
コミュニティホールの十分条件の8番目に、遊技機の情報をスタッフがお客様に伝えるというものがありますが、
伝えてお互いが共感出来たり、コミュニケーションにネタになるものを探す必要があります。
お客様はスペック以外に興味がないというのは、
自分にお客様に伝えたい情報がないと言っているのと同じです。
情報によって人の心がどのように変化するのかという洞察が無ければ、
十分条件の8番目は充実できません。
そういう意味で、このD&デパートメントに行ってみたり、
渋谷のヒカリエで開催されている「勉強会」に参加してみると、
情報伝えることの意味が体感できると思います。
〇フランチャイズパートナー条件にみる地域密着思想
D&Dはフランチャイズ制で全県を網羅いしたいと考えていますが、
フランチャイズに加盟するにあたり以下のような条件を付けています。
(1)ナガオカが選んだ商品を取り扱う。
(2)商品の半分が「その地域のロングライフデザイン」を目指す
(3)必ずカフェを併設する。
注目は(2)と(3)で、地域のロングライフなので、 良いもの長く使えるものを意識して取り扱わないといけないことになっています。 そして、カフェも原則として、地域のものにこだわった食材でメニューを作る。
販売ストーリーとしては、気軽にカフェによって食事をしながら、地域の食材など良さを体感し、
ふと横の売り場を見ると、自分が食した食材が置いてある。
しかも、生産者者の思いやこだわりが分かる。
地域にこんな良いものがあったのかと、購入して帰る。
地域の産業を地域の人にその良さを再発見してもらい、買ってもらう。
地域経済の循環機能を果たすというものです。
しかし、D&Dでは地域のものであれば、どんなものでも応援するのかと言えばそうではなく、 「地域を良くする」とか「文化的な意義がある」ものに対して、応援するということを徹底しているようです。 だからこそ、この店が取り扱っているものだからと、地元の消費者の方も安心して、購入できる仕組みにしています。
※どんなものでも地元なら応援するは、情報に対する不信を招きます。良不良のフィルターがかかってないからです。 それは単なる売らんが為の商売でしかなく、地元の人の幸福度の向上を意識していないからです。
地域との共生は十分条件の9番目の項目ですが、D&Dさんの取り組み方は参考になると思います。
〇消費者と生産者をつなぐ勉強会
D&Dのショップでは消費者と生産者をつなぐための勉強会を結構しています。 生産者のこだわりや苦労を知ってもらうことで、 今まで気にもとめていなかったものが、 素晴らしいものに思え、味も違うように感じる。
テレビでは”阿波晩茶”の勉強会の様子を放映していましたが、 生産者から他のお茶との違いや、そのためにどんな工夫をしているのか、 また、味も農家ごとに違うものになり、まるでワインのようですという説明を聞いて、 試飲するお茶も意識して飲むので、違ったものになったようです。
人間の感覚はデリケートなものなので、情報によってかなり影響を受けます。 消費者はまさにプラスの情報をもらうことで、価値を生み出したようでした。 そして、生産者も目の前でお客様がどのように自分たちの商品を消費するのかを見ることで、 新たな生産意欲が湧いたようでした。
消費者の顔が分からない生産活動に、やる気が起こるかと言えばあまり起こらないでしょう。 それは、必ず捨てるとわかっている料理を、美味しく作れと言われても、できないのと同じです。 だから、多くの人は多分喜ばれているだろうという想像で、頑張って作るのではないでしょか。 それがリアルに体験できれば、やる気が出てきます。
そういう視点に立てば、地元の生産者が、本当に自分達の商品を消費されている場面に、 立ち会っているかと考えると、そうでないケースも多いのではないでしょうか。 ホールという空間を活用して、地元生産者を応援する方法としては、これはヒントになると思います。
〇D&Dが作った旅行ガイド『d desaign travel』
これは地場産業の良いものを紹介している本です。 その土地に行って、実際に価値あるモノづくりに触れるために書かれた内容の本です。 もちろん、名所も載っています。 自分の土地で、どこが紹介されているのか確認するのも面白いと思います。
これが紹介されて凄いと感じたのは、本当にその土地の良いものを見つけるためには、 よそ者の目で良さを発見し、そこに住んで体感する必要があるということで、 実際に2か月はその土地で暮らして、いろいろと地場産業をはじめ、 良いものを探し回るという活動をしているということです。
全都道府県分を作成したいとのことですが、今は21冊作られています。 ホームページで自分の県の『d desaign travel』が出ているのか確認し、 地域再発見の参考にするのもいいかもしれません。
【コメント】この会社の素晴らしいところは、
「良いものを長く使ていく、世の中を作りたい」という思いを、
商売を通して行っており、それがブレないというところです。
結果として、地域の良さの再発見や地域活性を行い、
地域貢献をしている。
この考え方は地域が発展すれば、何をしても大丈夫というものと正反対のものです。
ある意味厳しい考え方ですが、目先の利益ではなく、長期的な地域存在の意味を考えた場合、
この活動は大きな意味をもつのではないかと思います。
ホール経営のオーナーも、地域と共にと言うことで、 このフランチャイズに加盟して、百貨店経営をすることは、 地域密着の可能性を考える良い機会になるかもしれませんね。
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