◆◇◆ 第89話 社長の我慢 ◆◇◆
むかしむかしあるところにパチンコ店の店長がいました。
いろいろと手を打つのですが、あまり効果がありません。
友人と飲みに行ったときについつい愚痴が出てしまいました。
◇
「最近さ、あんまり店の業績が良くないんだよね」
「そうなんだ」
「何をしても、お客様の反応ももう一つなんだよな」
「そなんだ、たいへんだね」
「わかってくれるか?」
「わかるよ」
店長は友人にいろいろな施策(企画)を打ってるのに、お客様の反応がいかに少ないか、長々と説明しました。
「苦労してるんだね」
「そう、俺は苦労している。なのに誰も俺を評価してくれない」
「そうなんだ。大変だね」
「やっぱり持つべきものは友だね。わかってくれるか!?」
そう言って、店長はビルを一気に飲み干した。
「お姉さん、ビールお代わり!」店長がカラになったビールグラスを高く上げた。
そんな店長に友人は質問をした。
「店舗の状況はよくわかったけど、お客様が君の企画に反応しないのは何故なんだ?」
「そんなことは気にしていないさ。
そりゃ理由は様々だろう。
仕事が忙しいかもしれないし、遊ぶお金が無くなったのかもしれない。
高齢者もいるから病気になったのかもしれない。
一概には言えるものではないさ」
「そうなんだ・・・・」
「当り前だろう」
「調べてみた???」
「それほど暇じゃないし、最近の人手不足でスタッフも手が足りない。
パチンコ業界は特殊だからさ、他業界のお前に、パチンコ店運営の大変さを伝えるのはちょっと難しいかもな」
そう言って店長は運ばれてきた生ビールを美味しそうに飲んだ。
店長に顔には、誰よりも苦労しているという自負が見え隠れしていた。
◇
ある日、店長は降格になった。
元店長は頑張っている自分を降格にした社長に腹が立った。
怒りが収まらない元店長は、同じ友人を呼び出して憤懣(ふんまん)をぶつけた。
「俺は業績が下がる中、3年も頑張って来たのに酷いと思わないか!」
元店長は、運ばれてきた生ジョッキを一気に飲み干すと大きな声で叫んだ!
「3年か?よく我慢したもんだ」
「そうだろう!俺の苦労をなんだと思ってるんだ!」
「そうだね。社長は、よほど我慢強い人だったんだね」
「・・・・・・」
<解説>
施策は打っても上手く行くとは限らない。
上手く行かないときに、状況把握さえできたいない人もいる。
これは最悪。
状況把握ができても、状況把握だけで終わる人と、原因を考える人に分かれる。
状況把握だけで終わる人は、この店長のように失敗から学ぶことができない。
同じ過ちを繰り返すことになる。
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