◆◇◆ 第90話 店舗規模を活かす ◆◇◆
むかしむかしあるところにパチンコ店を経営している社長がいました。
社長は社長室で営業部長と話をしていました。
「うちの店舗の中で地域一番の規模の店舗がいくつかあるだろう。
それをもっと有効に活用する戦略を考えてくれ!」
社長の言葉に早速営業部長が反応しました。
「社長、それではアルバイトの採用数と待遇を私に決めさせてもらえませんでしょうか?」
「アルバイトの採用?俺は地域最大の店舗の価値を活かせと言っているんだぞ・・・」
「だからですよ」
社長は意味が分からないという不快な顔をしました。
それを見て営業部長はニッコリ笑って言いました。
「社長、もし、若い子が、初めてパチンコ店でアルバイトする場合、
時給1500円の店と時給1200円の店、どちらの店の面接を選ぶと思いますか?」
「それは1500円の店に決まっているだろう」
「そうでしょう。もし、うちのアルバイト時給を地域一番にすれば、うちの店舗がまず優秀な人材の選択権を得るということになります」
「だから?」
「地域は限られています。そして慢性的な人手不足です。
優秀な人材をうちで確保してしまえば、競合店には優秀じゃない人材がいくことになります。
優秀ではない人材の育成には時間がかかります。
そのうちアルバイトは辞めてしまいます。
何が言いたいかというと、競合店のサービスレベルはあがりません。
加えて、地域密着企画やコミュニティ化なのど、お客様とのつながりもできません。
店舗規模を覆す企画や戦略を打つことができなくなります」
ここまで聞いて社長はニヤッと笑った。
「要するに、純粋な店舗規模、遊技機品揃えの戦いになるということだな」
「その通りです。競合店のサービス力や企画力を押さえることで、
相対的に店舗規模の優位性が目立つことになります」
営業部長は答えた。
「さすが、営業部長。戦略的な考えだ」
「ありがとうございます」
◇
「ところで、雇った優秀な人材はどうする?」
「別に普通に働いてもいます。おそらく今までの教育方法で十分以上でしょう」
「そうなのか?」
「採用する優秀な人間は、もともとサービス精神がある人材なので、
業界の接客のやり方さえ教えれば、接客に問題ないレベルになります。
逆に競合店は人の育成に苦労することになりますね。
だから、この作戦は1粒(つぶ)で2度おいしい戦略になっています。
これでますますうちの店舗規模の優位は高まります。
それに店長や主任も教育に関して楽ができるので喜ぶと思いますよ」
と営業部長は笑顔で答えた。
<解説>
同じ質の店舗なら、店舗規模が大きい方が優位となります。
自分より大きい店舗の優位性を崩すためには工夫が必要です。
工夫をするのは人なので、人を力を削ぐことは、相対的に店舗規模の優位性を引き挙げることになるというお話です。
<おまけ>
伝説級のサービスで知られるアメリカの百貨店ノードストロームの採用方針は、 教育をする必要のないレベルの人を採用することと聞いています。
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