◆◇◆ 第92話 地域密着って何? ◆◇◆
むかしむかしあるところに地方のパチンコ店で働いているアルバイトスタッフがいました。
いつも朝礼の最後に店長や役職者から「地域密着店舗として、頑張ろう!」とスローガンを言わされます。
今日も朝礼でスローガンを言ってからホール業務に就きます。
「先輩、地域密着ってなんですか?」
「この地域を中心に営業するっていうことだよ」
「でもそれって当たり前のことじゃないんですか?」
「そうだけどさ、パチンコ店でも大型化すると、この近辺だけじゃなく、遠方のユーザーも来ることがるだろう。
でも、お店が大切にするのは、基本地元の人ですよという意味だよ」
「なるほど、でも、あえて『地域密着』って言う必要があります?」
「それは、あれだ。よそから来て知らん顔をするより『この地域で商売させてもらいます』とう低姿勢を打ち出した方が、可愛げがあるだろう」
「なるほど、それもそうですね」
「それにうちの店長も主任も他県出身だろう。
だから余計に地域のことを第一の考えている姿勢を打ち出す必要があると、会社が判断してるんじゃないかな?」
「なるほどそうですね。ところで具体的に何かするんですか?」
「それはよく知らない・・・。あ、そうだ。地域のお祭りの寄付をしたと店長が朝礼で言ってたな。
そういうことじゃないかな。
名前がちょっとでて、宣伝にもなるみたいだし・・・」
「それって、競合店のAもBもしていましたよ」
「まあ、みんな頼まれたらNOとは言いにくいとは思うよ」
「でもそれだけって、なんなんですかね・・・」
◇
「あ、そうそう。他にもあるじゃないか」といって先輩は手を叩いた。
「店内に周辺の地図があるだろう。
それに印をつけて飲食店を紹介しているじゃないか。
あれなんか地域の人に情報を提供し、地域の商店と一緒に頑張りますというメッセージだよ」
「あれですか?どこがですか?」
「何言ってるの、周辺店舗と連携して頑張っているというメッセージじゃん」
「そうですか?店舗名と営業時間しか書いてないじゃないですか」
「そうだよ」
「あれぐらい、地元の人は知っているじゃないですか。
地図が無くても地域の人は分かっていると思います。
実際、私でも分かります。
じゃ誰向けに書かれているんですか?」
「それはうちに遊びに来た人が、昼食や夕食場所に困らないように・・・」
「地域の人は知っているんで、困らないと思います。
むしろ、この地域を良く知らない、地域外の人に役立つ地図じゃないんですか?」
「そうとも言える」
「私としては、どうも地域密着店という感じは持てないんですけど」
「まあ、そんなに熱くなるなよ。俺たちは所詮アルバイトなんだからさ」
「それはそうですけど、・・・。少し言い過ぎました」
「いいよ、いいよ、俺だって違和感は感じてるが、割り切って働いているんだから・・・」
◇
「でも先輩、今回のオリンピックで活躍した□□選手は、
店舗として応援した方が良かったと思っています。
「□□選手ね。この街の出身だから思わず最後まで見ていて寝不足になったよ」
「僕もです。□□選手は僕の同級生のお姉さんです」
「そうだったのか」
「僕としては、地域密着と言っているから、休憩室の大型テレビを使って、てっきり店舗として応援するものだと思っていましたが、何もありませんでしたね」
「まったくスルーしていたね」
「常連の○○さんも、△△さんも、□□さんも、××さんも、
□□選手の遠い親戚や知り合いです。
もし応援していたら、盛り上がったと思います」
「地域の選手を一緒に応援し、感動を分かち合う!まさに地域に一員として溶け込むか・・・。
典型的な地域密着店の姿だね・・・」
先輩は後輩と話をしながら、この話は地元出身者でない店長や役職者にはスルーしようと思った。
<解説>
いくらスローガンを唱えても、スタッフを信用させることはできない。
スタッフが信用していないスローガンは、絵に描いた餅にすらならない。
まずはスタッフを納得させる施策を打つことが大切。
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