コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 3人の兄弟 ◆◇◆

 むかしむかし、とてもとても親孝行な3人の兄弟がいました。 お父さんが亡くなってとても悲しんでいる3人の姿を見た神様が、哀れに思い3人の手助けをしてやろうと思いました。 実は3人ともパチンコ店を経営しており、パチンコ不況の中、苦労していました。

 神様はまず、長男の枕元に現れました。
 長男がびっくりしていると、神様はこう言いました。
「おまえはたいへん親孝行である。私はうれしく思う。褒美として何か1つだけ願いを叶えてあげよう。何でもいいなさい」
 長男は喜んでお願いをしました。
「新台をいくらでも買えるようにしてください」
「わかった。但し、1年間だけじゃぞ。それまでに経営を盤石にするのじゃ」
 長男は大いに喜びました。

 翌日から不思議なことが起こり始めました。
 遊技機メーカーが、特別に定価の2割でいいから新台を置いてほしいと言ってきます。長男は喜びこれはと思う新台を全店舗に入れていきました。 低玉貸コーナーにもどんどん新台を入れます。 新台がすごいと評判なり、長男のパチンコ店は繁盛していきました。

 次に神様は、次男のところに現れました。
 次男がびっくりしていると、神様はこう言いました。
「おまえはたいへん親孝行である。私はうれしく思う。褒美として何か1つだけ願いを叶えてあげよう。何でもいいなさい」
 次男は喜んでお願いをしました。
「思う存分出玉ができるようにしてください」
「わかった。但し、1年間だけじゃぞ。それまでに経営を盤石にするのじゃ」
 次男は大いに喜びました。

 次男にも不思議なことが起こりました。
 出玉をしたいと思うとどこからかお金が湧き出てきます。 以前買っていた土地が突然高値で売れたり、偶然拾った宝くじが当たったり、とにかく出玉予算に合わせてお金が舞い込みます。 次男のお店は出玉が凄いと評判になり、繁盛していきました。

 最後に神様は三男のところに現れました。
 三男がびっくりしていると、神様はこう言いました。
「おまえのたいへん親孝行である。私はうれしく思う。褒美として何か1つだけ願いを叶えてあげよう。何でもいいなさい」
 三男は喜んでお願いをしました。
「ありがとうございます。それでは優秀な人材が育つように応援してください」
「わかった。但し、1年間だけじゃぞ。それまでに経営を盤石にするのじゃ」
 三男は大いに喜びました。

 すると翌日、偶然送られてきたメルマガに目が留まりました。
 人材育成をしている会社なので、コンタクトをとってみると自分が考えていた人材を育成してくれるというのです。 その会社に幹部研修、役職者研修、一般スタッフ研修のすべてをお願いすることにしました。
 最初は人で不足なので、研修時間がとれるのか心配していましたが、不思議とスタッフの応募者が多くなり、人手不足が解消されていきます。 また、研修に反発するスタッフもいましたが、自然に辞めていたり、残ったものは熱心に研修を受けるようになり、最終的にみんなが研修を熱心に受けて実践し始めました。
 アイデアも出てくるようになり、スタッフの施策をやり遂げる能力も高まって、PDACが回り、改善が日常的にできるようになっていきました。

 神様が現れて3か月後、3人は家のことで実家に集まっていました。 家の用事が終わると3人は神様に出会った不思議な体験の話になりました。
 長男は言いました。
「俺は新台をお願いしたんだ。お陰で大繁盛さ」
 長男はホクホクです。 3兄弟
 次に次男が言いました。
「俺は出玉をお願いしたんだ。お陰で大繁盛さ」
 次男もホクホク顔です。

 長男と次男は三男に訊きました。
「お前は、何をお願いしたんだ?」
 三男は答えました。
「人材の育成をお願いしたんだ」
「それで、店は繁盛してるの?」
「兄さんたちのような繫盛はしていません。でも、社員やアルバイトがやる気になっています」
 そういうと長男と次男は笑いました。
「お前は、パチンコ経営を知らない。パチンコの本質を勉強し直したらどうだ」
 三男はそれ以上パチンコ店の話はしませんでした。

 神様が現れてちょうど1年後、再び神様が3兄弟の前に現れました。
「今日で1年となった。これからはお前たち自身の力で頑張りなさい」
 それだけ言うと神様はスーッと消えていきました。

 すぐに変化は起こりました。
 長男の会社では、これまで安く買えていた遊技台が、通常価格でないと買えなくなっていました。 当然これまでのように新台は大量に買えません。
 長男はこれだけ繁盛しているから大丈夫だろうと思っていたのですが、稼働がどんどん下がっていきました。 結局、1年もしないうちに元の稼働に戻ってしまいました。

 次男の会社では、偶然のお金があてにできなくなり、これまでのような出玉はできなくなりました。
 次男はこれまでさんざんお客様を勝たせたはずなので、うちに居ついてくれるだろうと思っていたのですが、 いつも玉積みをしている常連さんから、このホールは回らないとクレームを言い出し、いなくなりました。 結局、1年もしないうちに元の稼働に戻ってしまいました。

 三男の会社では、求人の応募者が急に減りましたが、育て来た人事担当課長が募集方法を工夫して、応募が減るのをくい止めました。 また、研修に反発する人も出てきましたが、研修を受けて問題解決能力がついてきた店長や役職者が工夫して、各店舗を上手くまとめていきました。 そして人材育成会社と再契約をしました。
 しばらくすると、あそこのホールはスタッフ全員の接客が素晴らしい、ホールの企画も工夫がされていると評判を呼び、 徐々に稼働は上がりで、神様の支援が無くなって1年後に繁盛店になりました。

 それを見ていた長男と次男は、神様は三男にだけ援助を続けていると思い、二人で神様に不公平だと文句を言うことにしました。
「神様、ちょっと言いたいことがあります。出てきてください。三男だけ1年を過ぎても援助するのは、えこひいきではないでしょうか」
 それを聞いた神様は現れて言いました。
「私は、えこひいきはしていない。いいがかりをつけるには止めてくれないか」
 すると長男は言いました。
「そんなことはない。現に三男の会社はどんどん良くなっていっている」

 神様は憐れむようにニッコリ笑っていいました。
「そりゃそうじゃろう。お前たちが望んだのは、カンフル剤だ。カンフル剤をいくら体に打っても体自体は強くならない。 でも、三男が望んだのは、体自体が強くなることだ。だから1年を過ぎたらお前たちに会社もとに戻った。 しかし、三男は体自体が強くなっているので、元に戻ることはない。 しかもそれを継続している。良くなるのが当たり前ではないか」
 そう言うと神様は二人に前から消え、その後長男や次男が何度呼んでも、現れることはありませんでした。

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