コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第84話 データの活用② ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店を経営している社長がいました。
 社長は自分の後継者にするために他社に勤めている息子を呼び戻しました。
 社長は言いました。
「息子よ。優秀な人間を見分けてそれを幹部に引き上げていきなさい」
「了解しました。わたしもそうあるべきだと思っていました」
「残念ながら、私も十分人を育てたとは言えない。優秀な人間ばかりを要職につけているわけではない。 お前は役職にとらわれず、優秀な人間を徐々に引き上げていきなさい」
「はい、お父様。ところで、優秀な人間とそうでない人間を見分けるにはどうしたらよいのでしょうか?」
 社長は少し考えると息子に行った。
「データの活用方法を見ればわかる。今度の店長会議にお前もオブザーバーとして同席しなさい」
「わかりました。同席させていただきます」

     ◇

 店長会議の後、社長と息子は社長室にいた。
「息子よ、今日の会議をみてわかるように、店長によってデータの活用方法は様々だ。 その違いは分かるかな?」
「だいたいわかりました。 まず、データを活用して、経営状況やエリア環境の流れを把握している店長が結構います。 店舗の近況報告などがこれです。

 次にデータを活用して、問題を発見している店長も多かったと思います。
 その中でも、データを活用して、問題の絞り込みをしている店長もいました。 しかし、中には問題の絞り込みと原因を取り違えている店長もいたと思います」
「なるほど、それで」
「問題の絞り込みを行ってそこで止まっている店長もいましたが、中には原因分析のため仮説の原因をたて、新たなデータを収集して対応しようとしている店長がいました。 彼らは結構優秀だと思います。その対策のための施策も具体的で納得のいくものでした」
「AとBの店長だな」
「そうです。彼らは優秀です」
 社長は満足そうに頷いた。

「それからデータを使って検証を行っていた店長も結構いましたが、検証しただけの店長もいました。 先ほどの店長は検証結果が悪いもの対しては、その原因を分析し、改善の方向性を具体的に出していました」
「AとB、それとCとDの店長だな」
「その通りです」
「ダメな店長は?」
「XとYとZの店長ですね。彼らはデータ分析と言いながら、問題を隠すように良い数字だけを並べて報告していました。 店舗の問題と向き合っていないのが良くわかります。 データ活用ではなく、データ悪用ですね」
「実は全員にデータ活用の研修は一通り受けさせてはいるんだ」
「しかしながら、今日店長の報告を聞くと、その修得レベルは大きな差があります。これを放置すると、箱詰めされたミカンが一つ腐るのを放置しておくのと同じになりますよ」
「そうかと言って急に首にはできない」
「そうおっしゃると思っていました。それならX、Y、Zの店長にはもう一度データ活用研修を受けてもらったらどうでしょう」
「そうだな。お前の言うように、早めに対策を打とう」

寓話

     ◇

 店長会議の数日後、X,Y、Z店長のもとに本部から再度の「データ活用研修」の受講指示がきました。
 それを見て各店長は思いました。
『数値データによるPR効果があったようだ。 会社はこの俺のデータ活用力に磨きをかけて、全店舗の模範とするつもりなんだろう』

      

 

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