コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第86話 データの活用➃ ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店を経営している社長がいました。
 東京の業界セミナーに行き、知り合いの社長から実施施策に対するデータ検証の重要性について話を聞きました。
「なるほど、データを検証することで、施策の良し悪しが分かるのですね。参考にさせてもらいます」
 社長は早速、店長に自分たちの施策の効果について、測定して会議資料に数値で記入するように通達を出しました。
 翌月の会議資料には、施策とともに多くの検証数値が添付されてきました。
 社長は資料を見ながら、同じような施策をしても、各店長で施策のバラツキがあることがわかり、施策のレベルが分かると喜びました。

     ◇

 最初は検証数値を見るのが楽しみでしたが、しばらくすると社長は飽きてきました。
『毎回同じような検証数値になっている。毎月見てるけど、あまり意味はないか・・・』
 しばらくすると社長は検証数値をあまり見なくなりました。

寓話

     ◇
 数か月後、社長が東京で行われた業界の会合に参加すると、検証について教えてもらった知り合いの社長に会いました。
「この前はありがとうございました」
「お役に立ちましたか?」知り合いの社長は尋ねました。
「はい、すぐに店長に通達を出し、検証数値を出させるようにしました。 お蔭で、施策を見る目が少し変わりました。 効果があると思っていたものが意外と効果がなかったり、 効果が無いと思っていたものがあったりして、新たな発見でした」
「それは良かった」知り合いの社長はニッコリしました。

「ところで社長、あの検証数値はどういう頻度で取らしているんですか?」
「頻度?」
「うちは検証数値があまり変わらないので、半年に一度ぐらいでいいかな、なんて思っているんですけど」
「数値があまり変わらない?」
「ええ、あれから毎月会議資料の中に書かせているんですが、だいたい同じなので、・・・半年に一回ぐらいでも大丈夫かなって思っているですけど。 何かおかしいですか?」
「社長、検証データを取り始めて、店長はどうしてます?」
「これまで通り、営業してますよ。それは何か?」
「検証結果を良くするために何か行動を起こしたとか、ありませんか?」
 社長は振り返りましたが、心当たりがありません。
「本当に無いですね」
「やはりそうですか。検証数値を良くすための行動を起こさないと数値は変わらないんですよ」
「そうなんですか?」
「そうですよ。以前と同じ行動をしているだけでは、同じ結果しかでないのは当たり前じゃないですか」
「なるほど、よくわかりました。ありがとうございます」

     ◇

 社長は帰ると会議の場で店長達に行った。
「検証数値を出してもらっていますが、同じことをやっていては数値はかわりません。以前と違うことをやってください」
 すると一人に店長が言いました。
「社長は、私たちは同じことを繰り返しているわけではありません。 開店日は毎回違う新台を入れていますし、DMも台が違うので、毎回違う台の案内をしています」 他の店長も頷いた。
 社長は思った。
『やっぱり、検証データは半年に一回ぐらいでいいかな・・・』

     ◇

      

<解説>

 違う結果を求めるためには、違う行動を起こさなければならない。
 同じ行動をしているのに違う行動をしていると錯覚していると、真の違う行動をすることはできない。 

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