◆◇◆ 第27話 抽象的な言葉(関係づくり) ◆◇◆
むかしむかしあるところにパチンコ店がありました。
昔ながらの台入替と出玉で頑張ってきた店舗です。
ある日、店長は社長からお客様との関係づくりを強化するように言われました。
「今後、新台入替や出玉での差別化はできにくくなる。お客様との関係づくりをして、お客様を競合店にとられないようにするように!」
店長は少し戸惑いました。
「関係づくり」って何?
それで本当に競合店にお客様を取られないの?
店長は疑問がいろいろと湧きました。
しかし、店長は社長に聞けないと思いました。
そんなことをしたら、反対していると思われるかもしれない。
とりあえず、社長の言葉をみんなに伝えるだけ伝えておこうと思いまいた。
店長は店舗に帰るととりあえず役職者を集めて言いました。
「社長からお客様との関係づくりをするようにと指示がありました。みなさんも今後お客様との関係づくりをするようにスタッフを指導してください」
「了解しました」役職者は答えました。
さっそく役職者は社員とアルバイトを集めて言いました。
「会社の方針が社長から発表されたので良く聞いて下さい。今日からお客様との関係づくりに力を入れてください。これは大切なことです。分かりましたか?」
「了解でーす」スタッフは口々に答えました。
役職者が話を終わろうとすると一人のアルバイトスタッフが手を上げました。
「すみません。関係づくりとは具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか?」
役職者が答えました。
「それについては店長からまだ指示が出ていません。具体的な話が出次第、皆さんに伝えます」
「ということは、今まで通りのことをしていれば良いのですか?」
「とりあえず、そういうことです。他に何かありますか?」
「・・・・・・」
「無いようなので、これで終わります。今日も一日頑張りましょう」
みんないつもの業務に取り掛かった。
◇◇◇
1年後、近くに新店がオープンしました。
お店はあっという間にお客様をとられてしまいました。
店長は言いました。「社長、お客様を新店に取られてしまいました。スタッフには関係づくりをするように言ってましたが残念です」
社長「そうか、ところで関係づくりのために具体的に何をさせていたんだ?」
店長「・・・・・・・」
(ポイント)
抽象的な言葉は使いやすいが、具体的に何を指すのかを言うことができないと、掛け声だけに終わるということです。
コミュニティホールでよく使われる「関係づくり」という言葉も抽象的な言葉です。
抽象的な言葉の理解を会社全体あるいは店舗全体で分かっていると、価値観を共有していると言えます。
人が育っているかどうかは、抽象的な言葉の理解度で分かります。
参考寓話:第74話 関係づくりの判断基準
★・・・他の寓話も見る
掲載日: