コミュニティマネジメント研究所

社会的存在価値を高める企業のドラマづくりを応援する

パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第74話 関係づくりの判断基準 ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店を運営している会社がありました。 市場は縮小傾向が続いています。 社長は長く続けていくためにどうすれば良いかいろいろ考えました。 いろいろな人の話を聞き、店舗視察にも行きました。 その結果、信用が一番大切ではないかと思いました。

 適正利益を取っていたとしても、信用されなくなると、安心感がなくなり、”ぼったくり”していると思われ来てくれなくなる。 信用されなくなると店舗の規模が地域一番でも、新台入替が最大でも、来てくれなくなる。 逆に信用があれば、少々利益をとっていたとしても、安心して来店してくれる。 店舗の規模が地域一番じゃなくても、新台入替が最大でなくても、そんなことに関係なく、お客様は来てくれる。

 店舗の信用とは何かということになると、運営施策もあるが、最終的にはお客様と接点をもつスタッフの存在が大きい。 お客様がスタッフを気に入ってくれると、店舗の施策に対して好意的になってくれる。 店舗の信用が上がる。 要するにお客様とスタッフのつながりが大切なのだ。 社長はお客様との関係づくりに重点を置いた運営をすることにしました。 できれば信頼を得て、地域の人が気軽の集まれる場になればと思いました。

 お客様との関係づくりに取り組みはじめて3年、各店舗でお客様との関係づくりができている実感がわきません。 各店の店長に聞くと、関係づくりの大切さをスタッフに言っています。 スタッフも頑張っていますという答えが返ってくる。 社長は毎回のように、会議でお客様との関係づくりの大切さを説いている。 しかし、関係づくりが進んでいないという思いから、だんだん話が長くなっている。 社長はいらだってきました。

      ◇

 ある日、東京に出張した社長は、大学時代の親友と一緒に飲むことにしました。 社長は自分の目指しているパチンコ店の姿、そのためにお客様との関係づくりの構築に取り組んでいることを話しました。 親友は熱心に聞いてくれました。 社長はつい、なかなか進まないお客様との関係づくりについて、愚痴ってしまいました。

 親友は言いました。
「なるほど、お前のパチンコ業界に対する思いもわかるし、関係づくりの大切さもわかる。 そのためにどれだけ頑張っているかもわかるつもりだ。 チョッと聞きたいんだけど、店長がお前の話をどれだけ理解しているか、尋ねたことはあるのか?」
「理解していると思うよ」
「俺が聞きたいのは、お前がどう思っているかではなく、各店長がお前の話をどう理解して、 どうすればお客様との関係づくりができるか、具体的に分かっているのかということだよ」
「俺は、そうなるように、いろんな話をしているよ」
「だからさ。お前の話好きは良く知っている。しかし、それがちゃんと伝わっているかは別だろう。 それを確かめるのは、話した相手、店長から直接聞くしかないだろう、といってるんだ」
「・・・・・・・」
「特に、店長が中心で関係づくりを進めているなら、店長がお前の話を理解して、 『関係づくりができている、できていない』の判断基準を正しく持っているかどうかが重要なポイントじゃないか。 その判断基準が間違っていれば、いくら頑張っても、お前のいう関係づくりはできないんじゃないか」
「・・・・・・そうかも、・・・確かにそうかもしれない」
「各店長がみんな頑張って進めてると言っているんだろう。 そして、店長の指導の下、スタッフも頑張っている。 それなのに関係づくりができてきない。 その原因は、店長の関係づくりを見極める判断基準が間違っているじゃないのか、と俺は感じたんだけどね」
「・・・・・・・」

      ◇

 社長は帰りの新幹線で考えました。
『確かに親友の言う通りかもしれない。 俺はこれまで、上手くいっていなのは、努力が足りないとばかり思っていたが、 関係づくりの有無の判断基準が間違っていれば、いくら努力をしても結果はえられない。
親友に話して良かった。
帰ったらさっそく店長に関係づくりの有無の判断基準を訊いてみよう』
 安心した社長はうとうとと眠ってしまいました。      ◇

 社長は夢をみていました。
 目の前には、閻魔大王がいて、質問をしてます。
「関係づくりができている、できていないの判断基準はなんじゃ!!」
 前にいた亡者は答えました。
「丁寧な接客をしているかどうかです」
 すると鬼が来て、いきなり舌を抜きました。
「次、関係づくりができている、できていないの判断基準はなんじゃ!!」
 次の亡者が答えます。
「お客様への声掛けです」
 また、舌を抜かれました。
「次、関係づくりができている、できていないの判断基準はなんじゃ!!」
 また、次の亡者が答えます。
「会話で、お客様と会話をしているかどうかです」
 その亡者も舌を抜かれました。 だんだん社長の順番が近づいてきます。 とうとう社長の順番が来ました。
 閻魔大王が一段と大きな声で怒鳴ります。
「関係づくりができている、できていないの判断基準はなんじゃ!!」
 社長は、声を出そうとしますが、声がでません。
 鬼が近づいてきました。
 社長は、必死で声を出した瞬間、目が覚めました。

 周りの人が変な目で見ています。
 社長は、周囲の目を避けるように窓を見ました。
『店長に聞く前に、自分の関係づくりの判断基準を整理しておこう』
 新幹線の窓から、富士がきれいに見えていました。

寓話

 

<解説>

 ある状態するには、その状態になっているかどうかの判断基準を持つ必要があります。 数値目標の場合は、数値で判断できるので、比較的楽ですが、 抽象的な概念(「関係づくり」)になるとバラツキが出てきやすくなります。 努力をしても成果がでないので、要注意です。

参考寓話:第27話 抽象的な言葉(関係づくり)

★・・・他の寓話も見る

               掲載日:

inserted by FC2 system