コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第69話 驚愕のDM報告 ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店を営む会社がありました。 そこで働くタヌキ店長は困っていました。 遊技台の価格が上がり、アルバイトの最低賃金もアップしたので、社長から経費節約をきつく言われていました。

 なかなか経費が下がらないので社長はテーマを決めて、経費節約を推進すると言い出しました。 今月から3か月でDMの費用対効果を上げるようにと社長からの指示が店舗に届きました。 タヌキ店長が過去のDM反応率を調べると、だいたい20%前後で推移しており、他のグループ店も似たような数字です。

 タヌキ店長はDMの内容をいろいろと工夫しましたが、なかなかDM反応率は上がりません。 新台入替のDMを出しても最近のお客様の反応は冷ややかなものです。 20%の反応を23%まで上げましたが、それが精一杯でした。 社長からはもっと改善するように言われましたが、良い方法を考えつきません。

 報告会の終わりに悩んでいるタヌキ店長に本部のキツネ係長が近づいてきました。
「どうしたんですか?タヌキ店長」
 タヌキ店長は、これ以上DM反応率を上げる施策が思いつかないことを正直に話しました。 それを聞いてキツネ係長は言いました。
「そうですか。それについて一つ案がありますが・・・」
「何かあるなら是非教えてください」
「わかりました。 あくまでもヒントですよ。 タヌキ店長の会員システムは、来店回数で会員を抽出できますよね。 それを活用してみてはいかがでしょうか。 例えば、3か月に1回以上来店している人に送るなどですね。 いろいろ工夫してはどうでしょう」
 タヌキ店長にとっては目からウロコでした。 『そうか、DMを送る相手を絞るという方法も確かにある』 タヌキ店長は、キツネ係長を嫌な奴と思っていたのですが、少し見直しました。

 タヌキ店長は店舗に帰ると早速試してみました。
 DM対象者を3か月に1回の来店者に送るとDMの反応率が30%に高まりました。 それを見ていたイタチ主任が、月1回以上の来店者に絞ってみてはと提案しました。 すると今度はDM反応率が35%にアップしました。
「店長これは凄いです。もう少し絞って見たらどうでしょう」
 タヌキ店長は、DM対象をさらに来店回数の多い人に絞り込んいきました。
「店長、これは凄いです」
 イタチ主任は興奮して言いました。
「DM藩王率が8割を超えました。まさに快挙です」
 タヌキ店長の頭の中には、社長からお褒めの言葉を受ける自分の姿がありました。

     ◇ 

寓話

     ◇ 

 店長会議の場で各店の店長がDMの報告を行いました。 その中で、タヌキ店長のDM反応率はダントツでした。 他の店長からどよめきが聞こえました。 タヌキ店長は『やった!』と心の中で叫びました。 そして後でキツネ係長に礼を言っておこうと思いました。
 総評を社長がしようとしたとき、本部のキツネ係長がコメント書いた用紙を社長に渡しました。 社長はその紙に目を通すと顔がムッとするのが分かりました。

 社長は開口一番言いました。
「残念ながら、店長の中にDMの無駄をなくするという趣旨を取り違えているものがいる。 タヌキ店長、君だ!」
 タヌキ店長は、きょとんとしました。 何が起こったのか理解できませんでした。 するとキツネ係長が補足をしますと言って話始めました。
「タヌキ店長のDM反応率88%は凄い数値ですが、送っている対象は月に25回以上来店されている方ばかりです。 この方たちはほぼ毎日来されるので、DMを送らなくても来店される方です。 つまり、DMを送る必要のない方にDMを送っているので、最大の無駄をしているということになります。 以上補足をさせてもらいました」
 タヌキ店長は、なぜか遠くの空で鳴くカラスの声が、頭の中にこだましていました。

 

<解説>

DM効果は上げる王道は、基本は会員との関係づくり、DM可能会員の拡大、そしてDM内容の工夫です。

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