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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第71話 変化のない店 ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店がありました。 稼働がだんだん下がっています。 新しくこの店に着任した店長は何とかしたいと思いました。

 地域一番店を見に行くと、装飾が派手でよく目立ちます。 それに比べるとこれまでの自店の装飾は貧相であったことに気づきました。 店長はお客様に期待感を持ってもらうためには、装飾を強化するのが一番だと考えました。
 さらに注意深く見ると、スタッフがお客様に何か囁いています。 近くに行ってよく見ると特定の台をススメているようです。 なるほど、装飾だけでなく、口コミをして期待感を煽っている。
 店長は真似ることにしました。

 店長新任ということで、装飾を変え、おススメ機種をスタッフを使い案内させました。 稼働は徐々に良くなっていきました。
 しかし、1か月ぐらいたったころから稼働が横ばいになり、 3か月目に入ると稼働が徐々に下がってきました。 6か月目に入ると、店長として赴任してきたころより、悪くなっていました。

寓話

 店長は久しぶりにホールを細かく見て回りました。 装飾は昨日変えたばかりで、きれいにディスプレイされています。 スタッフを見るとお客様に対してきっちりおススメ台の案内をしています。 やりはじめの頃と変わらず、みんなよくやっています。 『なぜ稼働が下がっているんだろう・・・』不思議です。

 店長は今度は店の駐車場を見回りながら考えました。
『明日は、半年に1回の社長主催による全店店長会議か、どう報告しよう』
店長はこころの中で呟きました。
競合店の頭取りデータを見ると、市場全体としては少し下がっています。
『やはり、パチンコ市場の縮小が原因として報告するしかないだろう』
そう思ってふと顔をあげると常連らしきお客様の会話が聞こえてきました。

「この店はあまりやる気を感じないね」
「それはお前が負けたからだろう」
「そうかな」
「装飾も毎週のように変えているじゃないか」
「そうなのか、気が付かなった。でもそんなお金があるなら、もっと玉を出せよ」
「それは言える。それにいつも同じススメ台。おそらくそれ以外の台はダメなんじゃないの?」
「そうとは限らないかもしれないけど・・・、毎回ただ毎回なんとなくおススメと言われても、もう聞き飽きたっていう感じかな」
「ほんと変化がないと飽きるよね」
「意味なくおススメをされてもね。放っておいてって感じかな」
二人はそれぞれのクルマに乗り込み、地域一番店の方角へ走り去っていきました。

 

<解説>

 店側がやることが、そのままお客様に伝わっているとは限らない。 店の思いが、お客様に正しく伝わっているか検証が必要ということです。

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