コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第75話 様子を見る ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店を運営している会社がありました。 市場は衰退期に入って、各店舗の業績は落ちてきています。 社長は現状のやり方では対応できないとして、ホール運営の改善をしていこうと思いました。 店長にはマネジメント研修を受けさせ、PDCAサイクルを各店舗で回させることにしました。 取り組んで半年。しかしながら、業績はあまり改善しません。

 社長は東京出張を利用して、PDCAを奨めてくれた大学の先輩に会うことにしました。
「お久しぶりです」
「久しぶり、前回あってから、半年以上になるか」
 二人は乾杯をし、近況を報告し合った。

「実は先輩、先輩から話を聞いて、パチンコ店のホール運営にPDCAを取り入れて、業績改革を進めているんですけど、あまり効果が無くて・・・」
「相変わらず業績は下がっているの?」
「そうなんです」
「・・・・・・」
「もう少し様子を見た方がいいんでしょうか?」
「様子見ね。それは何故?」
「え?何故って、業務の浸透には時間がかかるものでしょう」
「この問題はあと少し時間をかけるとよくなるの?」
「それは分かりません。分かっているなら先輩に相談はしませんよ」
 社長は少しムッとした。 そして、社長はこのクラブの先輩が哲学科出身だったことを思い出した。 先輩は当たり前のことを細かく確認してくる。

「時間をかけて良くなるかどうかわからないものに、もう少し様子を見るという発言は『社長』の発言としてどうなの?」
先輩は少し酔ってきている。 そう思った社長は話を打ち切ることにした。
「そうですね、先輩のおっしゃる通りです。もう少し考えてから、また相談をさせてもらいます。 この話は、これでおしまいにします」
「そうか、それならいいけど。 様子を見る場合は、変化をもたらす行動の量と質を管理しておかないと・・・」
「先輩のおっしゃりたいことは分かりましたから・・・」
 そう言って社長は話題を変えた。

      ◇

 東京出張から帰って3か月経過した。 業績は相変わらず改善の様子がない。 本部スタッフから出される業績一覧表を見ながら社長は思った。
 『やっぱり、様子を見りるだけでは変わらないか』

寓話

 

<解説>

 施策を打ち、効果が出ない場合、3つのケースが考えられる。 一つ目は、施策そのものが効果がない。 二つ目は、施策がきっちり実行されていない。 三つ目は、施策は実行され、有効ではあるが、効果が顕現するのに時間がかかる場合。
 いずれに該当するか見極めもせず、ただ様子を見るのは、当たりはずれの博打に等しい行為でしかない。

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