コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第77話 アイコンタクト ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店がありました。 店長はこの店をもっと活気がある店にしたいと思っていました。 そんな時、店長は参加した研修から、アイコンタクトについて学びました。
 研修出張から帰ってきた店長は早速、役職者やスタッフを集め言いました。
「みなさん、お客様と挨拶する時は、アイコンタクトが大切です。 相手の目を見て、笑顔で挨拶や声掛けをしましょう」

     ◇

 一月ほどでアイコンタクトが徹底されるようになりました。
「店長、いい感じですね」主任が店長に言いました。
 店長はうれしくなりました。 店長はその効果を直に確かめたいと思い、お客様の生の声を直に聞くために、掃除スタッフに変装して、お客様の会話を拾いました。

「なんかこの店のスタッフは感じ良いね」
「あんたもそう思う?実は俺もそう思っている」
「ここのスタッフは、ちゃんと私らを見て接客しているよね」
「そうなんだ。感じいいよね・・・」
 店長は、うれしくなりました。
 店長はお客様のスタッフに対する印象が良くなったと判断し、スタッフにもっとお客様に対する声掛けをさせることにした。 新台入替の案内、打ってほしい機種への案内、景品イベントやポイント交換会にファン感の案内も、スタッフによる声掛けを積極的にさせました。

     ◇

 最初は、お客様のスタッフの声掛けで活気がでましたが、だんだん効果が逓減していきました。 そしてさらに1か月ほど経つと、お客様が減ってきているように感じます
「店長!今月の集客はきついですね。エリア全体の客数はかわらないのに、うちの客数は減少していますよ」
「何故だろう?」
「スタッフもアイコンタクトをし、お客様への声掛けに相変わらずやっています」
店長は何故お客様が減少しているのかわからなかった。

     ◇

 店長は、お客様の生の声を聴くのが早いと思い、また掃除スタッフに変装して、出口の周りの清掃をしていました。 出口には灰皿が置いてあり、雑談してから帰るお客様が結構います。

「この店どう思う?」
「感じは悪くは悪くはないけどね」
「俺は、わざわざこの店に来る必要がないと思っている」
「俺もさ。目を見て挨拶し、声も掛けてくるから、俺のことを覚えているのかと思って感心していたら、全然こっちの勘違い。
せっかくだからと何回も店に来たら、全く同じ案内を何度も聞かされてさ。 『昨日も聞いたよ』て言ったら、『念のためのご案内です』ていったけど、一昨日のやり取りと同じ。
俺のこと全然覚えてないことが分かったんだ」
「俺も同じ。
『新台入替ぜひ来て下さい』っていうから、『じゃ明日も来るよ!』って翌日店に来て、そのスタッフに声を掛けたら、『誰?』ていう感じでさ。
なんかここのスタッフの案内を真に受けて来るもんじゃないな、と思ったよ」
「まあ、そんなもんだよなぁ」
「目を見て挨拶や話をするのは、別に俺たちを覚えようとしているわけではないということさ!」
「でも、スタッフが覚えている客もいるよ」
「あれは、ほぼ毎日来ている超常連客さ。さすがにそれは覚えるだろう。俺たちみたいに週1,2回程度の客は、覚えるに値しないということさ」
「じゃ、なぜ、目を見るの?」
「それは顔を覚えるためじなく・・・、客をその気にさせる商売のテクニックじゃないの?」
「あ、あ~、そう言えば、昔、眼の悪い女の子がよく見えないので、じっと相手を見て話すのを、自分に好意があると勘違いする馬鹿がいたよなぁ」
「いたいた、あのたぐいのテクニック?」
「そうかもしれないぜ・・・」
「相手がこっちを覚える気がないんだから、こっちもこの店を気にけて、わざわざ来なくていいじゃない!」
「まったくだ・・・、わざわざ来て損しちゃった・・・」
煙草を吸い終えたお客様は、自分達が停めているクルマの方へ歩いて行った。

      ◇

寓話

 

<解説>

 自社(自店)では、アイコンタクトは何のためにやっているか。 どんな行為も、それ単体で完全OKということはありえない。 業種業界によって、アイコンテクトの意味合い、お客様の期待は違ってくる。

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