コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第78話 ファン感謝祭① ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店がありました。 今日からファン感謝祭です。
 この店の常連であるAさんは、会社の同僚のBさんに声を掛けました。
「今日からファン感謝祭をしているよ。どうだい、たまにはパチンコでもしてみたら?」
 Bさんは答えました。
「ファン感か、行きたくないね」
「どうして?クジがあって景品が当たるよ!」
「景品が欲しいなら、直接お店屋さんにいくよ」
「遊び心の無い奴だな。当たりを引くところが面白いんじゃないか」
 Bさんは鼻で笑いました。
「お前は楽天的でいいよな。俺はお前が何と言おうと行きたくないよ」
「なんでさ」
「行くと不快になるからさ」
「不快に?」
「お前みたいな常連は、分からないよな。何せ『ファン感謝祭』だからね」
「どいうことだよ」
「文字通り、この企画はファンつまり常連に対するお祭りだからさ。俺みたいなめったにパチンコをしない人間がその日に行くと不快になる。 お前たち常連は店のスタッフと楽しく会話するが、俺に対する声掛けはクジの案内ぐらいだ。 おそらく、そのクジも一等や二等は入っていない、カスクジさ」
「まあ、俺は毎日のようにいくから、スタッフを知っているし、しゃべったりするのは当たり前だろう。 それに一等っていってもたかだかテレビだよ、あんなものもらって本気で嬉しいと思うような奴は、パチンコなんてお金のかかる遊びはしないよ。 だからそんなもののためにわざわざ空くじ箱を用意するとは思えないよ」
「まあ、お前がなんと言おうと、めったにパチンコをしない人間は歓迎されていないのは確かだ。 スタッフの対応や雰囲気を見れば、それは分かる。だから行かない。行くなら『ファン感』以外に行くよ」
 そう言うとBさんは他の同僚を誘って、飲みに行きました。

     ◇

 Aさんはいつものパチンコ店に行きました。
 周りを見るとBさんが言うように、確かに常連とそれ以外では、スタッフの対応もことなり、なんとなく雰囲気が違います。
『Bさんが言うように、やっぱりこの「ファン感」は常連に感謝をするためのものだったんだ。 俺はこの店の常連で良かった』
 Aさんは、ファン感期間中は他の店にいくのをやめました。 そして、Aさんは、ファン感謝祭の期間は、二度とBさんをパチンコに誘いませんでした。

      ◇

寓話

 

<解説>

 人は同じ客なのに、自分以外の客が良くされるのを見るのは不快。 でも、自分が特別扱いされるのは大好き。

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