コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第83話 データの活用 ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店の店長がいました。
 店長は頑張っているにもかかわらず社長から評価されていないと思っていました。 確かに業績はだんだん悪くなっていますが、競合店よりましだと店長は考えていました。 この際、社長に自分が頑張っていることをPRするためには、会議をうまく利用するしかないと思いました。
 折しも先だって本部通達で、『会議ではデータ活用をして報告するよう』という指示が来ていたので、これを上手く利用しようと思いました。

     ◇

 店長は明日の会議のためにデータ分析をしました。
 目標の稼働には達成していませんでしたが、利益は達成しています。
 『よし、まずこれを報告しよう』
 稼働を分析すると、全体では目標未達成ですが、主要機種の○○と△△の稼働は目標を超えています。
 『つぎは、この2機種は目標を達成していることを強調しよう』
 ○日のイベントは集客が悪かったが、予想以上にドリンクが売れている。
 『イベントの集客は未達成でしたが、お客様との関係づくりはできたということで報告しておこう』
 それによく見ると先月よりは、まだ集客数が5人多い。
 『よし、これも強調しておこう』
 最近、社長は競合店A社の状況をよく聞いてくる。確かにA社はジワジワと集客数を上げている。 それに対して自店はジリ貧化している。 でも同規模のB社に比べれば、集客の落ち数は少しだけ少ない。
 『A社の報告をした際には、B社の状況も報告し、自店が頑張っていることを強調しよう』
 店長は、明日の会議が楽しみになってきました。
 『データ活用なんてチョロイものさ』

     ◇

 店長は、自店の会議室にいました。
 遠くの店長はネットでの会議参加です。 
 社長は会議の開始を告げると共に言いました。
「本部から通達をしたのでみんなは読んでいると思うが、改めて今日の会議と従来の会議の違いを言っておく」 そう言って社長は本社に集まった店長とネットの中の店長を見まわした。
「わが社はデータを活用して、会社の体質、店舗の体質を強化していく、数字はみんなの手元にあるので、改めての数字の報告は割愛するように。 その代わり、データ分析で分かった問題点の報告とその対策について手短に報告してくれ」 それではまず、第一中央店長。報告してくれ」
「ハイ!わかりました」
第一中央店長は少し緊張気味に話し始めました。

「まず、稼働ですが、稼働目標は3%ほど未達です。
その原因は、□□機種の稼働が良くなったからです。
この機種は全国平均を見ても稼働は下がっておらず、機種の魅力はまだあります。
機種自体には問題はありません。
分析すると、平日の稼働の低下が見られます。
会員データの平日客を分析すると、以前より20歳から40歳の客層が減少していました。
おそらくサラリーマン層の平日誘導がうまくできていかなったのではと仮説を立てました。
対策としては・・・・・・・・・・・・・」
 報告は予定通り10分で終わりました。
 店長は社長の顔を見ました。 報告に満足しているようすです。

 店長は深呼吸をしました、次は自分の番です。 モニターの社長から合図がありました。 店長は自信たっぷりに話し始めました。

「まず、稼働ですが、利益目標は達成しましたが、稼働目標は3%ほど未達です。 しかしながら、主要機種の○○は1625アウト、△△は899アウト目標を超えました。 顧客誘導のための装飾変更が良かったのだと思います。 次にイベント集客ですが・・・・・・・・」
 しばらくしてモニターに映し出されている社長の顔を見ると険しい顔をしているように見えました。
 店長は思いました。少し画面映りが悪くなったかな。
『まだ8分しかたっていないよ。さっきまで機嫌が良かったのに、何を怒っているんだろう?体の不調??』 組織のTOPたるもの感情をすぐ表にだすのはダメでしょう、などど思いながら、店長はあまり気にすることなく、最後まで報告しました。

寓話

     ◇

 数日後、店長のもとに本部から再度の「データ活用研修」の受講指示がきました。
 それを見て店長は思いました。
『さっそくPR効果があった。 この俺のデータ活用力に磨きをかけて、全店舗の模範とするつもりなんだろう』

      

 

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