本当の地域密着店の作り方(実践編)

コミュニティマネジメント研究所

アイデアのタマゴ

 アイデアを生み出すきっかけ作り

◆健康測定器具をコミュニケーションの手段にする

 タニタから『靴を脱がない体組成計』を発売したと、お盆前(2018年)にニュース番組のWBSが報じていました。

 体組成計とは、体脂肪・基礎代謝量・筋肉量など、体の組成に関する諸数値を測る装置の総称で、 体に微弱電流を流し電気抵抗を測定して数値を推定するものです。

 測定できるものは、体重をはじめ12項目といろいろあります。
 例えばよく耳にする『体脂肪率』というものがあります。 これも測れる項目の一つです。 体内に蓄積された脂肪のことを『体脂肪』といいます。 その体脂肪の量が体重に占める割合を体脂肪率といい、体脂肪率(%)=体脂肪量(kg)÷体重(kg)×100で表されます。 体脂肪が過剰に蓄積された状態が肥満とされています。 つまり、肥満度を数値化したものです。

 これまで体組成を測るために靴を脱いで、足が直接計測計に付けるのが当り前でした。 病院などで測るなら当然人は靴を脱いだり裸足になるのも苦になりません。 しかし、病院ではなく、日常の買い物をするようなお店で、体組成計がおいてあるからといって、 わざわざ靴を脱いで測るかといえば、そこまでしたくない、誰しも面倒臭いと思うものです。

 そこで誰でも気軽に体組成を測ってもらうためには、 靴を脱ぐというハードルを無くした方が測り易いに決まっています。 そこで開発されたのが、『デュアル周波数体組成計 DC-13C (グレー)』という 靴を履いたままで使用できる体組成計です。

■健康経営を目指し、スタッフとのコミュニケーションの機会にする

 健康経営は、経済産業省が主導で推進しています。 国家予算の中で一番多くの割合を占めている国民医療費は、平成27年度で42兆3,644 億円となっており、 前年度の40兆8,071億円に比べ1兆 5,573億円、3.8%の増加となっています。 国民の医療費を押さえるためには、厚生労働省だけでは無理であり、 企業サイドから健康について国民(社員)に働きかけが必要ということで、 経済産業省が乗り出してきています。

 従業員が健康であることは、企業にとっても大変重要なことで、経済界も積極的に取り組んでいます。 アルバイトスタッフや社員の健康、当然店舗では必要なことで、 毎年健康診断をしたりして、健康への注意喚起は行っているのではないでしょうか。

 こういう便利な機器が出たときに、スタッフ向けに健康投資として、福利厚生の一環として購入してみるのも悪くありません。 もちろん、ホールに出しておけば、血圧計などと同様にお客様向けのサービスとして使えます。 ちょっと金額ははりますが、新台の予算を1台スタッフの健康の為に使うのは価値があると思います。

☆アイデアタマゴ①

 体組成計などを買って、ただ設置するだけではあまり面白くもありません。 最初はスタッフも面白がって乗りますが、次第に飽きてきます。 これではせっかくの投資が無駄になります。 急な欠勤を減らすために、健康なスタッフを増やしたいのに、増やせないということになります。 アルバイトもそうですが、役職者でも自己管理のために、毎日測ったした方がよい人もいるのではないでしょうか。

 そこで、社内で健康管理委員会や健康クラブを立ち上げて、スタッフに定期的に測定してもらい、 健康に向かっているかどうかをチェックしていくというのはどうでしょうか。 体脂肪率など、ランキングをつけると、頑張ってやせようとする人が出て来るかもしれません。 不摂生も数値化して分かると、暴飲暴食などを押さえられるかもしれません。 健康管理が行き届いていると、急な欠勤も減るかもしれません。

 スタッフが健康で元気に働いてくれることが、コミュニティホールづくりの基礎となります。 そして、店長や役職者が健康についてスタッフと会話をすることで、スタッフとのコミュニケーションを促進し、 共にお客様に喜びを提供する仲間という意識を醸成してはどうでしょうか。

 1週間に1度体組成計を利用して、数値を報告に来る。 それをエクセルなどで管理をして、スタッフに異常数値がないか見る。 そして、会話をする。当然、「この特保のお茶はよく効く」など健康についての会話が増えると思います。 健康への関心。これができるとアイデアタマゴ②の実行ができるベースができます。

【蛇足】スタッフに「ちょっと太ってきたんじゃない」などと、肥満を予防し、健康維持をしたもらうためにしていた発言は、今やセクハラと言われるかもしえません。 それよりは、体組成計の数値でコミュニケーションをとったほうが、店長や役職者のリスクもすくなるののではないでしょうか。

参考資料:タニタ:『デュアル周波数体組成計 DC-13C (グレー)』

■体組成計の導入を、お客様と親しくなる機会にする

 健康をテーマにして集客を図る。 これはコンビニやスーパーをはじめ、他業界では盛んに行われています。 パチンコ業界でも健康をキーワードにしているところもあります。 そこまで行かなくても、血圧計などを置いているホールも多いのではないでしょうか。

 たまに血圧計を使用している高齢者の方を見かけます。 1人で黙々とはかり、出されて数値を確認して、ホールの中に消えていく。 あるいは退店されていく。 それを見ながら、この血圧計を置いているホールの意図は何だろうと考えたりします。

 血圧計はいたるところに見かけます。 最近みたのは、調剤薬局の中でした。 スーパーでも、市役所でもいろんなところに置いてあります。 このような状況の中で、ホールに血圧計が置いてあることで、 お客様に何かインパクトを与えることができるでしょうか。

 お客様視点では、もはや計測器があるだけ、健康に力を入れている店舗とは見えないといえるのではないでしょうか。

☆アイデアタマゴ②

 体組成計測定器などのホール設置と同時に健康管理クラブ(実際の名称は工夫してください)を作るというのはどうでしょう。 血圧計だけでは話題が限られますが、体組成計の数値があれば、健康に関するいろんな話ができると思います。

 ポイントは、紙に出されたデータをカウンターなどに持ってきてもらい、 それをエクセルなどに打ち込むことです。 そのデータをグラフ化しておき、お客様にデータの変化を見せて、 身体の調子について話をすると良いと思います。

 例えば、体重が気になる人や体脂肪が気になる人には、体脂肪を燃やせるお茶などを景品として取り寄せたり、 お客様が既に試している健康食品があれば、効果を聞いてホールで仕入れたり、 健康情報としてコミュニティボードに貼り付けたりできます。

 えっ?忙しい時間帯にカウンターに来られると困る?
 なら、忙しい時間帯を避けてお客様にもらうように工夫すれば良いだけです。 ホールに事情は様々なので、一概には言えませんが、少し知恵を出せば済むことです。

 話を戻します。そして、健康管理クラブのメンバーが多くなってくれば、体組成計の数値を基に健康改善度の順位を出したり、 数値改善の高かった人に何をしたのかインタビューをして、掲載したりできます。
 また、健康管理クラブメンバー向けに、休憩室などの防音スペースがあれば、 栄養士さんや健康管理の資格を持っている人に、30分程度の健康セミナーをしたもらうのも良いかもしれません。 できれば栄養士さんや健康管理の資格を持っている人が、ホールのお客様であれば一番よいでしょう。

 健康管理クラブがあれば、少ないとも月に一度、あるいはまた来週も来てくださいと言えます。 つまり、お客様がわざわざ自店を選ぶ理由を与えることになります。 これは大きいですよね。

■一言

 健康についての話題で、お客様を集めるには、スタッフ自身が健康に対して関心が高くないと話になりません。 なぜなら、健康に関心が高い高齢者の方の話を真剣に聞けないからです。 ですからまず、社内で健康クラブを作るという<アイデアタマゴ①>の話になるというわけです。
 スタッフが関心を持ち、自分で数値を読み解き、管理できるようになって、お客様の数値にアドバイスをする。 悪くないと思いますがいかがでしょうか。

参考資料:体組成計の測定項目の見かたについて

 この前、イオンの中の薬局に行くと、血圧計や血管年齢計などが置かれていました。 そこで一人で計測して帰るのは、なんとなく寂しいですよね。 年をとって自分の健康に関心があるのは自分だけというのは、コミュニティの姿ではありません。
 コミュニティは仲間です。仲間なら仲間の健康に関心を持つのは普通ですよね。 そういう雰囲気づくりは、コミュニティホールには欠かせないものです。

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