新型コロナウイルスの消毒についての基本的な知識②
◆界面活性剤とは
界面活性剤(かいめんかっせいざい)とは水になじみやすい「親水性」と油になじみやすい「親油性」の2つの性質を持ち、 水と油のように、混ざり合わない物質の間で双方に作用し、界面(物質の境面)の性質を変えて混じり合わせることができるようにする物質です。 この作用により汚れを落とす働きをするため、石鹸をはじめ洗剤の主成分としてもつかわれています。
◆コロナに有効な界面活性剤とは
新型コロナウイルスに対してアルコール系の消毒液が有効とされていましたが、 感染拡大によりアルコール系消毒液不足が深刻となりました。 そこで、家庭や職場におけるアルコール以外の消毒方法の選択肢を増やすため、 経済産業省は独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)に依頼し、界面活性剤の有効性の評価を行いました。
有効と判断された界面活性剤は次の9種です。 有効とされる必要濃度はそれぞれ違うので、消毒液を作る際は気を付ける必要があります。 またウイルスに作用するための時間も1分から5分必要です。
〇直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.1%以上)
〇アルキルグリコシド(0.1%以上)
〇アルキルアミンオキシド(0.05%以上)
〇塩化ベンザルコニウム(0.05%以上)
〇塩化ベンゼトニウム(0.05%以上)【5月28日追加】
〇塩化ジアルキルジメチルアンモニウム(0.01%以上)【5月28日追加】
〇ポリオキシエチレンアルキルエーテル(0.2%以上)
〇純石けん分(脂肪酸カリウム(0.24%以上)【6月25日追加】
〇純石けん分(脂肪酸ナトリウム(0.22%以上)【6月25日追加】
使用方法としては、クロス類に消毒液を浸みこませて拭き取る方法で消毒し、噴霧による吸入や目に入らないような注意が必要です。
参考資料:新型コロナウイルスに有効な界面活性剤が含まれている製品リスト(NITE)
◆界面活性剤の使い方
リストにある洗剤のうち、もともと住宅用として売っている製品については、ラベルや製品情報サイトなどにある正しい使い方に沿って使用する。
例えば花王「かんたんマイペット」の場合、使用方法に「除菌はスプレーして5分置き、ふきとる」とされていますので、そのような使い方をすれば大丈夫です。 高濃度アルコール(濃度により15秒〜1分)に比べると時間はかかりますが、普段通りの掃除が、そのまま新型コロナ対策になります。
<洗剤うすめ液の使い方>
1)洗剤うすめ液を作る。
例)たらいや洗面器などに500mlの水をはり、台所用洗剤を小さじ1杯(5g)入れて
軽く混ぜ合わせる
2)キッチンペーパーや布に溶液を染みこませ、消毒したい物の表面をふき取る
3)5分程度待ってから水ぶきをする
4)キッチンペーパーなどで乾ぶきをする。
(注意)なお、水に薄めた洗剤(うすめ液)は時間が経つと効果がなくなるため、
作り置きをしない。
※台所用洗剤は薄めて使う
「ジョイ」や「ママレモン」といった台所用洗剤を消毒用として使う場合、家具などのふき掃除での使用は本来の使い方ではありません。
そのまま使うと界面活性剤の濃度が高過ぎるので、家具の消毒にはうすめて使う必要があります。
今回提示された薬剤は、噴霧時の吸入毒性を調べたり,目に入ったときの有害性を評価したりしたものではありませんので、手指の噴霧消毒の代替えではありません。 また、身の回りのモノの消毒に使用する場合においても、溶液を噴霧して除菌するものではありません。
参考資料:ご家庭にある洗剤を使って 身近な物の消毒をしましょう(経産省、NITE)
■一言
新型コロナウイルスと共存していくためには、除菌に対する正しい知識が必要です。 正しい除菌をしているつもりで、そうでない場合が一番最悪です。 但し、知見が進むと変わることもあるので関心を持ち続ける必要があります。
関連資料:アルコールによる消毒
関連資料:次亜塩素酸水による消毒
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