コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第49話 関係作り企画② ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店の店長がいました。
 ある日の店長会議のときに、社長からこれからは関係づくりを強化して、勝ちの残っていくという話をされました。
「これからの差別化は、関係作りで行う。 みんな関係を作るように、頑張ってくれ」
 店長はグループ店の店長と一緒に会社からコミュニティホール作りの研修会へ行かされました。

 研修を受講して帰った店長は、お客様との関係作りの為に、 とりあえず商品の取り寄せを行い、それをきっかけに会話をし、コミュニケーションを取ることにしました。
 念のために研修に参加した他の店長に電話をすると、今までやっていた景品取り寄せを関係作りを目的にするということでした。 店長は、早速、主任に言って、人気のありそうな銘菓を探させました。 主任は早速インターネットで調べ、3つの候補を持ってきました。 店長はその中の一つを選んで発注するように言いました。
「店長、了解しました。ところで何箱発注しましょうか?」
「1箱にいくつお饅頭が入っているの?」
「8個です」
「それなら、3箱頼んでくれ」
「了解しました。でももし箱買いをするお客様がいたらどうします?」
「それはそれで問題ない。このお饅頭の賞味期限は短いだろう。 長持ちしないから早く売る必要がある。 それにむしろ早く売れた方が、人気のある商品を取り寄せたとお客様は思ってくれるだろう」
「なるほど、そうですよね。了解しました」

 店長は主任を集めると今回のお取り寄せ景品企画の趣旨を説明して、 サービスカウンターでは、景品交換に来た人には、必ずこのお饅頭の案内の声掛けをして、おススメするように指導するように言いました。 販売日の3日前から、お取り寄せ景品の案内ポスターを出し、当日には取寄せたお饅頭をカウンター前に置き、手書きのPOPを作りました。 カウンタースタッフも熱心に声をかけ、取り寄せ景品はすぐに完売しました。

寓話

 昼から出てきた店長はお取り寄せ景品の販売状況を主任に聞きました。
「主任、お取り寄せ景品の売れ行きは?」
「よく出ています。カウンターのスタッフもきっちり声をかけているようです」
「お客様の反応は?」
「喜ばれています。あのお菓子は京都でも有名なので、京都に旅行に行った時に旅館で出されたなどどいう人もいたようです」
「そうか、それは良かった。後何個残っている?」
「後5つほどなので、すぐに売りきれるでしょう」
 店長は満足そうな顔をして、事務所からサービスカウンターの様子をモニターで眺めていました。
『この調子でやれば、今度の店長会議で、社長に喜んでもらえる報告ができるだろう』

   ◇   ◇   ◇

 数か月後・・・。
「店長、今度のお取り寄せ景品の個数ですが、どうしましょう?」
「前回は箱買いのお客様がいらしたので、商品の仕入れ個数を増やしましょうか?」
「何でそんなことをするの?」
「え?・・・。最近午前中で売り切れてしまうので、仕入れを増やしても、もう少し売れるかなぁ、と思いまして・・・」
「余計なことをしなくていいよ。別に売って利益を出すことがが目的じゃないんだから」
「それはそうですけど・・・」
「希少性の原理って前に話したことがあるだろう。少ないものには価値がある。是非欲しいと思う人は朝から来るようになるだろう」
「そうですね。いつもの常連のお婆さんも、『今日はお取り寄せの日だから早く来たよ』っておっしゃってました。 そう言えば、スタッフがお取り寄せ景品のファンが、常連様中心にできていると言ってました」
「そうだろう。それに多めに仕入れて、万一売れ残って商品を廃棄することになったらどうするんだ。もったいないだろう」
「その時は、僕が食べますよ」
「それも良いけど、基本的に食材ロスは、社長が言っているSDGsに反するからな」
「ですよね・・・・。さすが店長です。了解しました。いつもの仕入れにしておきます」

   ◇   ◇   ◇

 半年後・・・。今日は店長会議の日です。 店長は会議前に他の店長と雑談をしていました。 定刻になり社長が入ってきました。 いつも通りの会議になりましが、このところの市場の低迷とあいまって業績が下降気味です。 社長の機嫌が良くありません。 会議が始まると社長が、今日は関係作り企画の進捗から報告してもらうと宣言しました。

 「それではこれから、関係作り企画について報告してもらう。 その前にまず準備をしてもらう。 これまで半年間の関係作り景品の販売個数を出してくれ。 分からない店長は、今から店舗に電話を掛けても構わない。 それに会員化が4割として月の推定来店客数を出してくれ。 そして販売個数に推定来店客数を割った数字を出してくれ」
 メモをとっていた店長は社長に確認しました。
「社長、関係作りで販売した景品の個数を、推定の来店客数で割ったらいいんですね」
「そうだ」

 ●販売個数 ÷ 推定来店客数 =(暫定ざんてい)企画のお客様カバー率

「これって何なんですか?」
「取り合えず、暫定的な企画のお客様カバー率だ。 みんなはお客様との関係作りのためにお取り寄せ景品の企画をしている。 問題はどれだけのお客様と関係作りが出来たかだ。 そうだろう。 景品を売ることが問題ではない。 景品を通してお客様との関係作りをすることだ。 効果を上げるためには、質とともに量もいる。 つまり、どれだけ多くのお客様とコミュニケーションがとれたかということが重要だ
 そう言って社長は店長達を見回した。
「これまでお客様の反応良好と聞いていたが、業績は思わしくない。 これからはお客様とのコミュニケーション人数の管理もしていく。 それなりに景品が出ないと会話もできないし、関係作りもできない。 早々に完売では、お客様に景品をおススメする声掛けもできないだろう。 今日以降は、この企画によるお客様との会話数も管理してもらうことにするから、そのつもりでいてくれ」
 そう言うと社長は、これから10分で準備をするように店長全員に指示をした。

 ●企画による会話人数 ÷ 推定来店客数 = 企画のお客様カバー率

 

関連寓話:第48話 関係作り企画①
    :第50話 関係作り企画③
参考寓話:第68話 総付け景品結果報告
    :第72話 景品ロス対策
    :第73話 続景品ロス対策

★・・・他の寓話も見る

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