コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第68話 総付け景品結果報告 ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店の新米店長がいました。 これまで本部が総付け景品を企画して、一括仕入れをしていたのですが、 社長から店舗事情を考慮して、各店で総付け景品を用意して配布することになりました。

 新米店長は仕方なく、総付け景品を自分で考え、仕入れて配布しましたが、 お客様の評判はあまりよくありません。 今度の店長会議で、総付け景品の反応について社長に訊かれることが分かっているので、それを考えると憂鬱でした。 同期の人間が本部にいるので、どのように説明したら社長の機嫌を損ねずにすむか、聞いてみようと思いました。

     ◇ 

寓話

「やぁ!プライベート電話なんか久しぶりだね?飲み会のさそい?」
「それもいいね。今日はそうじゃなくて、チョッと聞きたいことがあるんだけど、今、大丈夫?・・・」
「何?俺でわかることなら、何でも答えるけど」
「明日の会議のことなんだけど、・・・。俺の店の総付け景品、人気が無くてさ、いつもより配布がかなり少なくなったんだ、どう報告したらいいだろう?」
「なんだそんなことか」
「社長は結構お客様満足度にうるさいだろう。お客様ニーズに合ってないものを出したとわかると、またお説教が始まるだろう。 会議が長引いてしまうだろう。みんな辛くなるだろう。当然オブザーバーで出ているお前も辛くなるだろう」
「それは俺も困る」
「だろう。だから、どう報告したら良いか教えてくれ・・・」
「そいうことか、わかった。それじゃ言うよ」
「今回総付けを配布した中で、喜んでくれたお客様の情報を集めること。 できたらお客様の声がいいな。 それを報告の時に社長に『計画通りとはいきませんでしたが、こんな声がありました』と紹介する。 そうすれば景品が悪いという印象は持たれなくなる。」
「でも多くの人が前の総付けの方が良いといっているけど・・・」
「大丈夫さ。探せば100人に一人や二人はいるよ。世の中100%はほとんどない。少数意見は必ずある」
「なるほど、もう一度、主任やスタッフに聞いてみる」
「それから、今回の景品だけど、なぜ、その景品にしたの?」
「ネットで探していて、適当に決めたけど」
「だと思ったよ。それなら今回の総付けを良いといったお客様の特徴を考えて、 そういう人をターゲットにして、新たな顧客を獲得しようと思ったと答えれば、いいんじゃないか。 適当に決めたとは言い難いだろ?」
「助かるよ」
「最悪、今までとは違う客層を思い切って狙ったと言えばいいんじゃない。 そうすれば、今までと違う商品にした言い訳が成り立つよ。 それから、配布数の少なさが目立つようなら、書かないでおけば?」
「配布数を聞かれたらどうしよう?」
「嘘はつけないから、正直に言うしかないけど、端玉景品として出す予定ですと言えば、大丈夫だと思うよ」
「ありがとう、助かるよ。今度、何かおごるよ」
「期待せずに待っているよ」

 新米店長は無事に会議をうまく切る抜けることができた。
お客様が喜んでいたという具体的な話をしたら、社長はそれなりに納得してくれた。

     ◇ 

 報告の要領を覚えた新米店長は、忙しいこともあって、その後も適当な総付け景品の企画を続けてしまった。 1年後、新米店長の降格が発表された。

 

<解説>

小さな問題を一時的に隠すことはできるが、隠し続けることはできない。 小さな問題も、積み重ねれば、大きな問題へと成長していく。

参考寓話:第72話 景品ロス対策
    :第73話 続景品ロス対策
    :第48話 関係作り企画①
    :第49話 関係作り企画②
    :第50話 関係作り企画③

★・・・他の寓話も見る

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