コミュニティマネジメント研究所

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パチンコ寓話

パチンコ・イノベーションを促進させる短編寓話集

◆◇◆ 第72話 景品ロス対策 ◆◇◆

 むかしむかしあるところにパチンコ店を経営している会社がありました。 社長への店舗報告の中で、景品イベント企画として仕入れた景品の廃棄ロスが出ています。 社長はこれを何とかしたいと思い、各店長に景品廃棄ロス対策について考えて運営するように指示をしました。 月初めの店長会議の前に、各店長には追加議題として景品廃棄ロス対策への取り組みを発表してもらう旨のメールを送付しておきました。

 会議の冒頭、社長は店長たちに言いました。
「前回の会議でも取り上げたように、最近景品イベント企画で仕入れた景品が廃棄され、食品ロスになっている。 世の中、SDGsなどと言って、そういう無駄には敏感になっている。 うちの会社でも、そういう流れを遵守していくことは、前に伝えた通りだ。 それでは、さっそく各店でどう対処したのか発表してもらおう」

 社長は会議テーブルの右回りに発表するように言いました。
「それでは八木店の私から発表します。 景品が売れ残らないように頑張りますが、売れ残った場合、すぐスタッフに配って食べてもらうようにしました」
「スタッフにタダで配ったのか?」
「はい、社長がおっしゃるように食品ロスとなるのは避けるべきだと思いました」
 社長は八木店の数値を見て、言いました。
「売れ残った景品が前回より多いようだが、・・・」
「そうですね。すみません。今月スタッフが一人増えたものですから・・・」
 社長はムカッとしましたが、時間がないので次の店長に発表をうながしました。

「はい、郡山店の発表をします。 郡山店では、景品が売れ残らないように、景品の仕入れ数を思い切って少なくしました」
「少ないっていうのは、ここに書いてあるように通常50人分用意するものを10人分に減らしたということか?」
「はい、そうです。過去の資料で最悪の販売数が10人分だとわかったので、 絶対ロスを出さないように、過去最低を仕入れの基準にしました」
「すぐ売れたらどうするの?」
「即完売ということで、売り切れのPOPを出します」
「ちなみに先月はいつ売り切れたんだ?」
「オープンしてから10分ぐらいです。たまたま来店したお客様が10個もらうと言われたので、それで完売しました。 これは我が店舗の景品イベント企画史上最速です。
「後できたお客様からはクレームは出なかったのか?」
「大丈夫です。お客様がクレームを言うほど欲しがるような景品はいれてませんから・・・」
 社長はまたムカッとしましたが、医者から興奮しないように言われているので、次の店長に発表を促しました。

「それでは、桜井店の発表をします。 私の店では景品イベントをやめることにしました」
「・・・・・・・」
「仕入れるからロスが出るわけで、仕入れなければロスはでません。 これこそ完璧な対応ではないでしょうか」
「・・・・・・・」

寓話

 

<解説>

 景品イベント企画のロスについて、目先の対処にこだわりすぎると、 景品イベント企画の目的そのものが見えなくなってしまう。

関連寓話:第73話 続景品ロス対策
参考寓話:第68話 総付け景品結果報告
    :第48話 関係作り企画①
    :第49話 関係作り企画②
    :第50話 関係作り企画③

★・・・他の寓話も見る

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