◆◇◆ 第73話 続景品ロス対策 ◆◇◆
むかしむかしあるところにパチンコ店がありました。 店長が移動になり、副店長が新たな店長に抜擢されました。 店長の辞令を受け取った時、社長から景品イベントの景品の廃棄ロスは極力抑えるように言われました。 実は、前の店長はそれを遂行することができず、社長の逆鱗に触れ、左遷されたのでした。 新任の店長は、これまで前の店長を模範にしてきたので、急に廃棄ロスを押さえろと言われても良いアイデアが出てきません。 しかたがないので、本社からの帰りに、店長は初めて店舗の近くにあるお稲荷さんにお参りしました。
新任店長はお稲荷さんの御社の前で手を合わせて祈りました。
『どうかお稲荷様、良いお知恵をお与えください』
しばらく、祈っていましたが、何のお告げもありません。
新任店長は気づきました。
『そうだ。お賽銭がまだだ』
新任店長は迷いましたが、小銭がないので思い切って千円札を賽銭箱にいれました。
すると、どこからともなく声が聞こえてきました。
「そなたに知恵を授けよう」
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
「うむ。景品を捨てるのではなく、スタッフに与えなさい」
「お稲荷様、それをした店長は、左遷されました」
「では、景品の仕入れを極力減らしなさい」
「お稲荷様、それをした店長も、左遷されました」
「では、景品イベントをやめてはどうかな、絶対に廃棄ロスはでないぞ」
「お稲荷様、そう言った店長はクビになりました」
「そうか、そうか、そうじゃろう。それでは賞味期限の長い景品を仕入れるようにしたらどうかな」
「なるほど、ありがとうございます」
新任店長は喜んで帰っていった。
その様子を少し離れて見ていた隣町のお稲荷さんが声を掛けてきました。
「よお、正神界のキツネさんよ。随分、手を抜いたアドバイスをするね」
「なんだ、魔界のキツネさんか。何しに来たの?」
「つれない言葉だね。もう少し人間にやさしくしたら?」
「お前には言われたくないね。彼は困った時だけ頼みに来て、後は知らん顔するタイプの人間さ。
アドバイスの深さは、神と人との信頼関係で決まる。
一元さんなんで、あんなものさ」
「手厳しいね。俺なんかもっと親身にアドバイスをするよ。
廃棄ロスを出さないための商品選定の方法とか、
廃棄ロス確率を減らす統計データの活用とか、
効果的な景品おススメ方法のやり方とか、
完売になってもお客様から感謝される方法とか、
いくらでもプラス思考のロスを防ぐ方法があるじゃないか。
俺なら教えるがね」
「魔界のキツネさんよ。こころにもないことを言うじゃないか。
そういう真っ当な商売のやり方は、正神界の俺の領域だよ。
きみの領分じゃないだろう」
「そうだよ。分かっているよ。俺の領分は錯覚、思い違い、恐怖、色欲を使った魔界の商売の方法だよ。
彼が俺のところに頼みに来たら、親身にそういう商売の方法を教えてやるよ。
俺はお前と違って、心が広いからな」
そう言って隣町のお稲荷さんは帰っていきました。
<解説>
景品イベントの景品ロス削減方法は、いろいろある。 景品ロスを発生させないための景品選定方法。 仕入れた景品を売り切る販促方法。 売れ残った景品の効果的な活用方法。 など、仕入れから廃棄までのプロセス別に考察してみる。
関連寓話:第72話 景品ロス対策
参考寓話:第68話 総付け景品結果報告
:第48話 関係作り企画①
:第49話 関係作り企画②
:第50話 関係作り企画③
★・・・他の寓話も見る
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