本当の地域密着店の作り方(実践編)

店舗(パチンコホール)が地域のコミュニティ広場としての取り組みを始めた

関根翔太のコミュニティホール指導回想録

『本当の地域密着店の作り方』の後継本となる予定の連載です。

◇◇◇ テレビの取材

 10月の中旬、翔太が事務所にいると突然インカムが入った。
「関根店長、テレビ局の人が店舗の取材をしても良いですか、とカウンターに来られているんですがどうしましょう」
 モニターを見るとカウンターに取材のためにディレクターやインタビューアナウンサー、カメラマン、マイク音声担当など4人が来ている。 翔太はカウンターに急いだ。

 翔太が出て行くと、ディレクターらしき人が、山口饅頭堂の山口社長から聞いてここに来たと言った。 店内は話が聞き取りにくいので、一緒に外に出て話を聞いた。
 ディレクターは竹内と名乗り、地方テレビ局のもので、地方再生の特集番組を作っていると言って自己紹介をした。 その番組の中では、地元で元気のある企業の取材をして紹介するコーナーがあるということだった。

 地元の情報をいろいろと集めていると、その中に最近行列ができると評判のなった山口饅頭堂というお饅頭屋さんがあり、 取材に行ったところ再生に秘訣は、他店舗とのコラボということで、このパチンコ店を教えてもらったということらしい。
 最初はパチンコ店の外観だけを撮って帰ろうと考えていたが、出てきたお客さんから、このお店は面白い取り組みをしているから、放送すると面白いよと言われて、少し店内を見て回ったらしい。 そしてコミュニティ掲示板や貼ってあるポスター、休憩室や景品コーナーなど見て、普通のパチンコ店ではあまり取り組んでいないことをしていると感じたので、これは紹介する価値があると思ったということであった。

「関根店長、是非取材を受けてもらえないでしょうか。多くの地方企業が行き詰っているのは、従来の枠の中でしか考えることができないからです。 御社のように発想を変えて業態を変革している企業が身近にあることを知れば、多くの人が触発されると思います。 これも御社が掲げている『地域との共生』になると思います」

 竹内ディレクターの説得に翔太は根負けした。
 翔太は自分の一存では判断ができないとして、翔太は山崎部長に確認し、小泉社長と連絡を取った。 小泉社長から許可がでたので、取材に応じた。
 取材は出来るだけ多くのスタッフから話を聞きたいということで、翔太や森川副店長をはじめ、主任やリーダー、現場スタッフにもインタビューをして帰っていった。

 そして翌日の『朝の健康体操の会』にも取材班が来て、参加者にインタビューをし、体操の様子を撮影して帰っていた。
 放送は二度にわたり行われた。
 まず最初はニュースとして、取材の二日後、3分間放送された。 それから月末に、地方再生特集で5分間放送された。翔太は15分インタビューを受けたが、テレビに出たのは最初の15秒間だけだった。

 ニュースとして、ジャック久米坂店の活動が放送された翌日、早番スタッフから嬉しい話を聞くことが出来た。ニュースを見た家族や友人から電話があったこと。 家族から良いところに勤めたねと言われたこと。パチンコ店で働くことに反対していた父が頑張れと言ってくれたこと。翔太は報告を聞いてうれしくなった。 遅番スタッフからも同じように周りの人から賞賛を受けたことを報告してきた。
 そして、何人ものお客様が、ニュースでこの店を見たと言ってはスタッフに話し掛け、活動を応援しているとエールを送ってくれた。
 山崎部長に放送の反響を報告すると、他のジャックグループ店からも、同様の報告が入っており、小泉社長も喜んでいると教えられた。

 それからしばらくは、番組を見たということで、雑誌の取材とか、店内で自社の商品を紹介して欲しいとか、 一緒にコラボをしたいという店舗や企業の担当者が尋ねてこられた。
 コラボに関しては森川副店長と吉村主任に任せて、翔太は西谷主任と主に農家の廃棄野菜の問題解決に取り組んでいた。

  

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